映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!
まず最初に言っておきたいのは、この映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」、なかなか攻めた内容だということだ。筆者は正直「またガンダムか、今度はどんな新型が出るんだ?」程度に身構えていたのだが、いざフタを開けてみると予想以上にシリアスな展開や新キャラクターのインパクトが強くて目が離せなくなってしまった。特に序盤の戦闘シーンからいきなりテンションが高く、ガンダムシリーズをそこそこ追ってきた人ほど「あ、これ昔のSEEDのテイストが戻ってきてるぞ」とニヤリとするはずだ。
とはいえ、今作は過去作品の懐かしさに浸るだけの構成ではない。C.E.75年という新しい時代設定ならではの政治劇や、人類の進化をめぐるテーマなどがしっかり盛り込まれており、シリーズの看板でもある「愛と平和とモビルスーツ」の三拍子がガッツリと詰め込まれている。しかも新興国家ファウンデーション王国やブラックナイトスコードの登場によって、これまでの敵味方関係がさらに複雑に絡み合っているのが面白い。いったい誰が正義で、何が悪なのか、その境界線を丁寧に描き出すストーリー構成には感心するばかりだ。
さて、このレビューではそんな映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」をザックリと振り返りながら、激辛トークも交えて率直な感想・レビューを述べていく。ガンダムファンも、そうでない方も、「これから観るかどうか迷っている」なんて人も、ぜひ本記事を参考にしてほしい。ネタバレ要素も含むので、未鑑賞の方は読み進める際にご注意を。ではさっそく本題に入ろう。
映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」の個人的評価
評価: ★★★★☆
映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」の感想・レビュー(ネタバレあり)
ここでは先ほどの星4つ(実質5段階評価で3)に相当する理由を、思いつくまま激辛な視点も交えて書き連ねていく。映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」を鑑賞した方はもちろん、まだの方もイメージを膨らませながらお付き合いいただきたい。
まず注目すべきは、物語の時代背景がC.E.75年という点だ。前作「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の終盤でギルバート・デュランダルのデスティニープランを阻止した直後から約1年後という設定であり、世界には依然として混乱が残っている。これにより、前作と同じメンツが引き続き重要なポジションを担う一方、新国家ファウンデーション王国など新規勢力が台頭し、物語はさらにややこしい政治劇へと突入していくわけだ。
ぶっちゃけ、最初に耳にしたときは「ファウンデーション王国? まるでファンタジーRPGに出てきそうなネーミングだな」と思ったが、実際に蓋を開けてみれば結構エグいことをやっている連中である。女王アウラ・マハ・ハイバルは、見た目は優雅な姫様風の雰囲気を漂わせつつも、その裏ではコーディネイターを超える新人類「アコード」という存在を手駒に世界を牛耳ろうと画策していたのだ。そして、そのアコード集団が名乗る部隊こそ「ブラックナイトスコード(ブラックナイツ)」。これがまた恐ろしく強い。通常のコーディネイターでもビビるほど強靭な身体能力を持ち、さらに戦闘スタイルがえげつない。「ガンダムSEED」系列では珍しい精神干渉能力などを駆使し、キラ・ヤマトのライジングフリーダムを容赦なく撃墜してしまう場面は正直ショックだった。かつての主人公機があっさりやられるあたり、今作の監督は本気でキラをどん底に突き落とす気満々なのだろう。
しかも、当初は「ブルーコスモス掃討作戦」を共同でやるという名目で登場したファウンデーション王国が、実は裏でユーラシア連邦やコンパスを挑発し、核ミサイルまで発射させるなど、やることが完全にアウトローだ。しかもその混乱の原因をコンパスのせいにして各国から信用を失墜させるあたり、もう性格の悪さ満点である。人の手柄を横取りするどころか、責任だけ押し付ける戦法は、もはやリアル世界のどこかの国際問題の風刺かと思わせるほどだ。
本作でのコンパスはラクス・クラインが総裁として率いている組織なのだが、この組織が序盤からあまりにも苦戦を強いられる。なんせ内部でも意見が割れているようで、特にシン・アスカやアスラン・ザラは常に現場へ出ずっぱりで、動いているうちに事態がどんどん悪化していく。個人的には「シン、ようやくラクスやキラと一丸になれるか?」と期待していたところなのだが、ブラックナイトスコードの登場によってまたもや混乱と不信感が増幅。結局シンは中盤まで右往左往していた印象で、ファンとしては「うーん、またか…」と感じてしまう部分もあった。
だが、そんな中で光るのがアスランの存在感だ。昔は「カッコつけの裏切り王子」なんて散々な呼ばれ方もされていた彼だが、今作では裏でファウンデーション王国の動きをしっかり嗅ぎまわり、最終的にはキラの救出やラクス誘拐の真相暴露に大いに貢献する。ラスト近くではおなじみの「アスラン式ゲンコツ」ならぬ拳での叱咤が復活し、落ち込んだキラに再び立ち上がる勇気を与えるシーンは思わずガッツポーズしたくなる。何だかんだで今作のアスランは、シリーズの中でもトップクラスに頼れる存在だったのではないかと思う。
そして本作のクライマックスといえば、宇宙要塞アルテミスでのラクス救出作戦だ。ラクスが「アコードの女王」としてオルフェ・ラム・タオに迎えられようとする危機的状況の中、キラやアスラン、シンたちが必死で立ち向かっていく。アウラが持ち出そうとしている新たなデスティニープランは「さらに強化された遺伝子支配体制を世界中に押し付ける」ものであり、しかも旧デュランダル版以上に危険。ここから怒涛の宇宙決戦に突入し、ストライクフリーダム弐式やデスティニーガンダムSpec II、インパルスガンダムSpec IIなど次々と新機体がお披露目される展開は、「やっぱりガンダムはこうでなくっちゃ!」というワクワク感が満載だ。筆者はついプラモデルを予約したくなる衝動に駆られた。
特に印象深いのが「マイティーストライクフリーダムガンダム」である。キラがラクスの支援機「プラウドディフェンダー」と合体し、カルラを撃破するシーンは、ガンダムシリーズ恒例の激アツ合体ロボ展開を思い出させてくれる。やっぱり主人公とヒロインが協力して最強形態を発動させるというのは、ベタだが燃える。「そんな魔改造があったとは…!」と突っ込まずにはいられないが、そこがまたガンダムらしいといえるだろう。
とはいえ、やはり評価を星4にとどめたのは、いくつか気になる点があるからだ。まず、描きたいテーマがやや詰め込み気味に見えた点。新人類「アコード」やデスティニープランの再来、ブルーコスモス残党軍、さらには核戦争危機まで盛り込まれているため、どうしても一本筋の通ったメッセージが薄まりがちな印象を受けた。さらにキラがメンタル的に落ち込む描写がやたら長く、「おいおい、キラがずっと暗い顔してると映画全体も暗くなるぞ」と心配になるレベルでウジウジしていたのは残念。もう少し前半で復活して、ガンガン活躍しても良かったのではないかと思う。
しかし総合的には、映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」は「SEED」の名に恥じぬ大迫力のモビルスーツ戦と、シリーズらしい愛と自由への問いかけを存分に堪能できる作品に仕上がっていると感じた。長年のファンが懐かしさを覚える要素もしっかりありつつ、新規視聴者にもキャラクターや世界観をわかりやすく見せる工夫が盛り込まれているのは好印象だ。尺の問題で駆け足な部分もあるが、ガンダムらしい「もう戦いはやめにしよう……と思ったけど、やっぱりやめられない!」感を味わいたい人には、きっと満足できる内容だろう。
最終決戦後のエピローグでは、オーブの海岸で静かに寄り添うキラとラクスの姿が再び描かれ、「人は必要から生まれるのではなく、愛から生まれる」というラクスの言葉が印象的だ。これはこれまでのガンダムSEEDシリーズのテーマを総括するようなメッセージであり、やっぱり最後は愛と平和で締めくくるのがSEEDなんだなと、ほっこりした気持ちにもなった。本作のポイントを一言でまとめるならば、「新たな敵や組織の登場でさらに世界規模の戦乱が拡大した一方、結局最後は愛が勝つ、だけど道のりは生半可じゃない」という感じだ。ファウンデーション王国やアウラ、オルフェの思惑は倒されたものの、まだまだ世界の問題がすべて解決したわけではないと思われる。続編が出るなら、さらに新たな混乱が待ち受けているのかもしれない。
全体的な楽しさと迫力はガンダムシリーズらしさが全開だったので、個人的には満足度は高めだ。人によっては「もうちょいスッキリまとめてほしかった」「旧作キャラにもっと活躍してほしかった」といった意見もあるだろう。それでも「ガンダムSEED」らしさをしっかり踏襲しつつ、若干のダークさや政治的な要素をプラスしているところは、高く評価していいポイントだと思う。結論としては「わりと楽しめる、でも賛否もあるだろうな」という中庸ポジションで終わらせておきたい。
以上、映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」の激辛レビューであった。ガンダム好きも、そうでない方も、興味があるならばぜひ映画館や配信でチェックしてみてほしい。きっと賛否含めて語りたくなる要素が盛りだくさんなので、友人との会話にも事欠かない作品になっているはずだ。
映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」はこんな人にオススメ!
映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」の当レビューを読んで、「ちょっと気になるかも」と思った人に向けて、この作品を特にオススメしたいタイプを挙げてみる。まずはやっぱり、ガンダムSEEDシリーズが好きな人だ。キラ・ヤマトやラクス・クライン、アスラン・ザラなどの旧作キャラが再登場し、彼らのその後がどうなったかをしっかり描いてくれているので、懐かしさと新鮮味を同時に味わえるのがポイントだ。
さらに「政治と戦争がガッツリ絡む物語が好き」な人にも向いている。ファウンデーション王国やブルーコスモスの残党軍など、複数の勢力が錯綜し、どこもかしこも怪しいムーブをしているので、「ああ、また混沌としてるなあ」というガンダムならではの空気が満載だ。しかも今回の騒乱は元地球連合やプラントとの絡みも絡むので、より大規模な政治闘争が展開される。こうした複雑な世界観にワクワクする人にはぴったりだ。
もちろん、「最新のモビルスーツが登場し、派手な合体や超人的パイロットがわんさか出てくる作品が好き」なら間違いなく楽しめる。中盤から終盤にかけて、新型ガンダムたちのど派手な活躍がこれでもかと詰め込まれており、迫力のバトルシーンが連発するため、目を離す隙がない。むしろシートベルトを装着して観た方がいいレベルのアクション量だ。
最後に、「ちょっと中二病的な設定も笑って受け止められる人」にもおすすめだ。精神干渉能力とか、遺伝子操作による新人類とか、なんだかトンデモ度合いが増したなあと思う部分もあるが、それこそがガンダムSEEDの醍醐味とも言える。真剣に考えてみると重たいテーマが潜んでいるものの、多少のご都合主義は笑って楽しむ余裕がある人ほど本作は刺さるはずだ。ここまで読んで興味が湧いたら、一度はぜひ観てみてほしい。
まとめ
映画「機動戦士ガンダムSEEDフリーダム」は、「ガンダムSEED」シリーズの世界観をさらにスケールアップさせ、C.E.75年という新たなステージで大混乱を描いた意欲作である。ファウンデーション王国やブラックナイトスコードといった新要素を取り込みつつ、キラやラクス、アスランなどおなじみのキャラクターたちが引き続き物語の軸を担っているのがポイントだ。衝撃的な展開や過激な演出も多いため、「そんな無茶苦茶な!」と突っ込みたくなる部分もあるが、そこがまたガンダムSEEDらしい魅力でもある。
とはいえ、詰め込み気味のストーリーゆえにやや駆け足感があったり、登場人物が多すぎて混乱する場面もあるかもしれない。特にキラの心の葛藤が長引いていたり、アコードの設定が唐突に盛り込まれている部分などは、人によって好みが分かれるだろう。しかし、大迫力のモビルスーツ戦や華やかなキャラクターたちの再登場、そして「やっぱり愛が大事だよね」というSEEDらしいメッセージが詰まっているのは間違いない。ガンダムシリーズの中でもとりわけ熱量の高い作品なので、「いやいや、やっぱガンダムはロマンでしょ?」と感じる人なら十分に満足できる仕上がりだ。