映画「Gメン」公式サイト

映画「Gメン」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!

本作は、秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載のコミックを原作とした学園アクション作品である。舞台となる私立武華男子高校は、まわりを女子高だらけに囲まれながらも、問題児だらけのクラス「1年G組」が存在するという凄まじい環境だ。そこに転校してきた主人公・門松勝太が、「彼女を作りたい」という純粋な(ある意味で無謀な)理由だけで飛び込むところから、物語は一気に疾走していく。

主演は岸優太であり、竜星涼や矢本悠馬、森本慎太郎、りんたろー。、恒松祐里、吉岡里帆ら多彩なキャストが顔をそろえる点も見逃せない。監督は「おっさんずラブ」シリーズでも手腕を発揮した瑠東東一郎で、期待を裏切らない勢いのある展開と迫力満点のアクションが全編にわたって盛り込まれている。「笑いどころ」も多めでありながら、少年漫画的な熱さと青春らしさを同時に楽しめる一作だと感じた次第である。

映画「Gメン」の個人的評価

評価: ★★★☆☆

映画「Gメン」の感想・レビュー(ネタバレあり)

本作は、いわゆる学園ものの枠に収まりきらないエネルギッシュさが魅力だ。まずは、1年G組という問題児集団が放つ強烈な存在感に驚かされる。教師をもビビらせる荒くれ者がぞろいなのに、実際はどこか抜けていたり、仲間想いの部分があったりと、ギャップが大きい。そうしたキャラクター性を支えているのが出演陣の濃い面々だ。岸優太演じる門松勝太は、やたらと元気でケンカも強いが、恋愛に関しては中学生レベルで真っ直ぐすぎるところがかわいらしい。一見すれば「何も考えてないんじゃ?」と思わせるが、いざ友人が危機に陥ると猪突猛進で突き進む。岸優太自身の明るいキャラクターが勝太に重なり、説得力ある活躍を見せてくれるのが心地よい。

共演の竜星涼は、身長とリーチを活かしたアクションが迫力満点である一方、コミカルな場面ではぼそっと天然発言をするなど、絶妙なバランスで役を作り上げている。矢本悠馬や森本慎太郎、りんたろー。なども、ばかばかしい騒ぎを本気で盛り上げる熱量が素晴らしい。特に矢本悠馬はアドリブが得意そうな雰囲気を存分に発揮しているし、りんたろー。のいかにも“言いそうな台詞”がちょいちょい挟まるため、騒動シーンが単なるドタバタに終わらない面白さを生んでいる。吉岡里帆が演じる瞳先生もまた強烈で、ふだんは美人教師なのにお酒が入ると豹変する振り切れキャラだ。このあたりの演出は、やりすぎ感すれすれだが、むしろそこが狙いどころなのだろう。

アクション面に関しては、本作が想像以上に力を入れていると感じた。高校生同士のケンカというよりは、格闘技さながらのパンチやキックが飛び出して、カメラワークも激しい。ときには流れるようなワイヤーアクションらしき動きも見受けられ、それらが違和感なく物語に溶け込んでいる。特に岸優太や森本慎太郎といった、普段はアイドル活動などで目立つメンバーが、体を張って熱演しているのは見応えがある。仮に粗さが残るとしても、作品全体の熱量が上回ってしまうため、細かい部分より迫力と勢いで押し切るパワーが持ち味だ。

一方でギャグ要素やお色気シーンも豊富だ。原作の漫画が下ネタや勢い重視の作風で知られているので、そこもきちんと再現されている。とはいえ、ど直球すぎる露骨さは薄められており、ほどよくライトにアレンジされている印象を受けた。結果として、あまりギクシャクすることなく「勢いのある青春のバカ騒ぎ」をエンターテインメントとして楽しめる仕上がりになっている。

物語の流れとしては、門松勝太が女子高に囲まれた男子校で「彼女作り」に邁進しようとするが、転入先はワルばかりのクラスだったうえ、さらなる不良グループが暗躍している――という、漫画的にわかりやすい展開で突き進む。勝太がクラスメイトたちに翻弄されつつも絆を深め、最終的には巨大な敵に立ち向かうというシンプルな構図だが、実写映画ならではのアレンジやテンポの速い展開に退屈さを感じる暇はない。何より、笑える場面が多いので飽きにくい。恋愛模様もベタではあるが微笑ましく、派手なアクションと一緒に楽しめる点が大きな魅力だ。

では、ここで個人的に刺さったポイントを列挙したい。

1つ目は、G組が単なる問題児集団ではなく「仲間と笑い合うことを大切にしている」部分だ。お互いに口は悪いが、いざとなれば全員で団結してトラブルを跳ね返す姿には、少年漫画さながらの熱さがある。2つ目は、不良シーンのアクションが想像よりも「本格的」なところ。ケガをしてもおかしくない激しい動きが続くが、これを華麗にまとめあげているキャスト陣の身体能力に感心する。3つ目は、ストーリーのテンポがいいこと。細かい描写を深掘りするよりも、次々とイベントが起きていくので置いていかれにくい。学生生活らしい騒がしさと、一触即発の不穏な空気が交互に入れ替わるから、テンションが下がらない。

一方、やや惜しい点としては、どこまでも漫画的なノリなので、リアリティを求めるとツッコミどころが多いかもしれない。車の運転がやたら荒っぽい人がいたり、敵キャラの振る舞いがステレオタイプすぎたり、警察がほとんど出てこなかったりと、「そんなわけないだろ!」と突っ込みたくなる場面が盛りだくさんだ。ただし、この作り込みを「バカバカしさも含めて楽しむ」精神を持っている人ならば、むしろ最高に盛り上がれるはずだ。

もう一つ、ロマンチックな要素も散りばめられている点は特筆に値する。ギャグとアクションの合間に、異性へのときめきや嫉妬、告白といった学生らしい恋模様が垣間見えることで、しっかり青春作品としての輪郭を持たせている。強烈な笑いと拳の応酬だけに終わらないのは、監督の手腕と俳優陣の演技力が噛み合っているからに違いない。

キャスティング面も豪華で、田中圭や高良健吾、吉岡里帆、尾上松也などが登場する豪勢ぶりは映画館で観るとよりテンションが上がる。特に田中圭演じる八神先輩のキャラクターは、妙にノリが良くて突拍子もない行動をとりつつも、男気を見せる場面があり、そのギャップが素晴らしい。高良健吾演じる伊達先輩も一本気な人物で、勝太の良き“兄貴分”として活躍する。その結果、主人公の若さが際立ち、ラストバトルに向けての興奮が増幅される構造だ。個性豊かな顔ぶれが入り乱れて騒ぎ続けるため、一度観ただけでは拾いきれない細かいネタもあるかもしれない。

本作は「スカッと笑いたい」「勢いのあるケンカシーンを味わいたい」「学園モノの熱い友情を楽しみたい」という要望を満たしてくれる映画だ。深いテーマ性よりも、とにかく躍動感あるキャラクターとアクションでゴリゴリ押してくるので、観終わったあとには気分がスッキリする。恋愛要素もそれほど重たくなく、あくまで“青春スパイス”として効いているため、気軽に楽しめる娯楽作品を探している人にはぴったりといえる。

ただし、登場人物のノリは常にハイテンションであり、下ネタ気味のやり取りも多めなので、人によっては戸惑うかもしれない。そういった点が苦手な方はあまり楽しめない可能性がある。だが、そのあたりを「少年漫画の王道バトル&おふざけ」であると割り切ってしまえば、むしろテンションを上げる材料として機能してくれるだろう。映画館で観れば客席全体が盛り上がるし、自宅で鑑賞するなら仲間内でツッコミを入れながらワイワイ楽しむのも一興だ。

この作品の一番の強みは、やはり観る者の気持ちを明るく引き上げてくれるところにあると感じる。何か嫌なことがあったときや、ストレスが溜まっているときなどには、まさにぴったりだろう。実際に自分も観終わったあとは「よし、明日も頑張るか」と思わせてくれた。作品自体がもつ“馬力”が非常に強いので、元気を分けてもらえるような感覚があるのだ。

以上を踏まえると、本作の評価は星3つが妥当だと考える。娯楽性は高いが、ストーリーや設定のリアリティという点ではあえて捨てている部分がある。そこを受け止めるかどうかで好き嫌いが分かれそうではあるが、個人的には「一気に盛り上がる青春活劇」を堪能できる良作だと感じた。原作ファンの方も実写ならではの魅力を見つけられるだろうし、キャストを目当てに初めて本作に触れる人でも、活気ある青春を体感できるはずである。

映画「Gメン」はこんな人にオススメ!

本作は学園もの、バトルもの、そして軽快なやり取りが好きな方に向いている。まず、「とにかく勢いのある作品を求めている」人にピッタリだ。学校内外で巻き起こる大騒動や、次々と現れる強敵とのケンカ、そして恋愛のドキドキ感が詰め込まれているため、退屈とは無縁である。静かに心情を深く掘り下げるというより、派手にどかんと盛り上がる展開を愛する人は、興奮しながら鑑賞できるだろう。

また、「仲間と一緒に笑いたい」タイプにも打ってつけだ。G組の面々は口が悪くケンカっ早いが、肝心なところで仲間を思いやる優しさを見せる。互いに足りない部分を補い合いながら、いざというときに助け合う姿には、グッとくるものがある。笑いに包まれた友情物語が好きならば、歓声を上げたくなる場面が多いはずだ。

さらに、「推しの俳優やアイドルを全力で応援している」人にもオススメである。岸優太をはじめ、タレント性豊かなキャストが体を張って演じているので、推しの新たな一面を見つける絶好のチャンスだ。テレビや舞台では見られないようなアクションや荒々しい演技をする姿が新鮮であり、ファンでなくても「この俳優、こんなに動けるのか」と驚かされるだろう。

最後に、「細かいことは気にせず青春の熱さに浸りたい」人にも向いている。設定のリアリティなどは脇に置き、登場人物の全力の掛け合いや、バカバカしいほどの騒ぎを楽しむスタンスでいれば、作品に入り込みやすい。ほどよく恋愛のときめきも盛り込まれているため、笑いと胸キュンを同時に味わいたい人にもピッタリだ。

まとめ

本作は、学園アクションと青春のバカ騒ぎを一気に味わえる“元気の出る”映画だ。問題児ばかりのクラスと、次々に襲いかかる不良集団の対立を軸に据えつつも、テンポの良いやり取りや過剰なまでの盛り上げ演出が最後まで失速しない。観客を置き去りにせず、むしろ引きずり回して笑わせてくれるようなパワフルさがある。それでいて友情と恋のスパイスが効いているため、熱血系が苦手な人でも「ちょっと面白そうだ」と思わせる魅力が詰め込まれているのだ。

「勢い重視の作品は中身が薄いのでは?」と思う向きもあるかもしれないが、むしろそこが美点でもある。余計な理屈を語りすぎず、キャラクターの勢いと想いをダイレクトに見せることで、観終わったときに爽快感が残る。心の中にモヤモヤを抱えているときにこそ、一気に吹き飛ばしてくれそうな活力がある。まさに豪華キャストが集結して生み出した“青春爆走劇”といえるだろう。