映画「名探偵コナン」公式サイト

映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!

本作は劇場版として25作目にあたる大人気シリーズの一つである。毎年恒例の映画だからと侮るなかれ、今回は警察学校組や捜査一課メンバーがストーリーの軸を担っており、原作ファンなら思わず泣きそうになる場面が満載だ。もちろん普段からアニメやコミックスを追いかけていなくても、映像や音楽、アクションの迫力だけで十分に楽しめる点も見逃せない。

とはいえ、コアなファンにはたまらない“あの場面”が映画ならではの熱量で描かれており、スクリーンで味わう醍醐味を存分に堪能できる作品だと感じた。

本項では、作品の激辛な見どころや登場人物の魅力について、口語調でざっくばらんに語っていく。もうすでに劇場で観た人も、まだの人も、本記事を読めば本作の展開やキャラクターに抱く思いがさらに深まるかもしれない。もちろんネタバレ要素もあるので、視聴前の方は用心して読んでいただきたい。

ここではあえて辛口で言いたいことも言うが、それも本作への愛ゆえ。ポップコーン片手に楽しむのはもちろん、ハラハラドキドキ感を追体験するつもりで読んでいただければ幸いである。

映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の個人的評価

評価: ★★★☆☆

映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の感想・レビュー(ネタバレあり)

ここからは本作の流れや演出、キャラクターの動きについて、ざっくりと掘り下げながら感じたことをまとめる。長文になるが、どうしても話したいポイントが多いので勘弁してほしい。なお、あらすじに深く触れるので、鑑賞前の方は細心の注意をお願いする。

まず、物語の幕開けでいきなり「佐藤刑事と高木刑事の結婚式!?」と観客を仰天させる場面が用意されている。この演出はおなじみの捜査一課メンバーがズラリと顔を出しているため、普段からシリーズを見ている側としてはテンションが上がる。だが、実際には“本番さながらの訓練”というオチ。いわゆるフェイクとはいえ、ウェディングドレス姿の佐藤刑事にドキッとさせられた人も少なくないはずだ。ここでのアクションシーンは、早くも今回の作品全体のテンポの良さを感じさせる。

次に注目したいのが警察学校組。原作やスピンオフで語られてきた、降谷零(安室透)の同期メンバーたちが本筋にガツンと絡む。この映画では回想を通じて、かつて松田陣平や萩原研二が大活躍していた一幕が濃密に描かれている。「もう退場してしまったキャラたちが、作品全体にどう関わってくるんだ?」と当初は疑問を持ったが、映画を観進めるとその疑問は物語の後半で鮮やかに解消された。

特に松田の爆弾解体のエピソードと、萩原が残したちょっとしたアドバイスが、現在の降谷やコナンたちを導くカギになっている点が胸アツだ。過去と現在が入り混じりながら、一つの事件へ集約していく流れはテンポも良く、作り手の構成力を感じる。

アクション方面の見応えも、近年の劇場版コナンらしく派手で豪快。警視庁前での爆破や、渋谷の雑踏を駆け巡るシーンなど、映像としての迫力が段違いだ。劇場の大画面・大音響で観ると、それこそ振動が伝わるくらいの臨場感でワクワクできる。

しかも今回はロシア系の民間組織が登場し、やたらと国際色豊かな会話や衝突がある。今までの劇場版よりも語学や文化の違いが鮮明に描かれており、「日本の警察VS海外テロリスト」という図式ではなく、それぞれの因縁や復讐心が入り乱れてカオス感を帯びているのが面白い。

そして肝心の謎解き要素。コナンシリーズといえば、爆弾や仕掛けがド派手に登場し、最後はコナンが華麗に推理しながらアクションで解決する展開が定番だ。本作もその王道パターンを外さずに突き進む。ただ、ストーリーの要所要所で公安警察が情報を秘匿するため、コナンがいつも以上に苦労している印象だ。首輪爆弾の存在なども含めて、敵だけでなく身内サイドの動きにも翻弄されがちなコナンを見るのは新鮮だった。

終盤のクライマックスでは、過去の警察学校組が残したヒントをコナンが思い出し、渋谷スクランブル交差点を利用した危機回避につなげる。この流れは正直“お約束”のようなものだが、毎度ながら「これしかない!」というタイミングと方法で大爆発を阻止するため、観客としてはスカッとする。また、今回は安室の首輪爆弾がどう解決されるかも見どころ。彼を必死に支える風見の奮闘ぶりが、ささやかだけど妙に感動的である。

キャラクター描写に関しては、とにかくファンの「見たい!」を徹底的に満たしてくれる。警察学校組の絆はもちろん、捜査一課の面々がわちゃわちゃしている空気感も微笑ましい。特に、どこか落ち着きのない松田と、それをフォローしようとする伊達、そして常に周囲を気遣う諸伏が、降谷と同じ場に立つ回想シーンはレア感がすごい。

また、高木刑事と佐藤刑事の“例のシーン”は、本作最大の胸キュンポイント。結婚式の真相はともかくとして、二人の関係性がさらに進展する場面が用意されていて、「おいおい、まじかよ!」と思わず嬉しくなる人もいるだろう。ここまでのドラマが長かった分だけ、大きなご褒美をもらったような気持ちにさせられる。

ビジュアルの作画も非常にきれいで、背景の緻密さやアクション動作の流麗さが際立つ。渋谷の街が舞台ということで、交差点やビルの描写もかなりリアルに作られており、まるで現地にいるかのような感覚を味わえる。さらに音楽や効果音も迫力があり、特に劇場のスピーカーから響く爆破音や銃撃音は「耳がビリビリする」というレベル。これだけでも映画館に足を運ぶ価値があると思う。

ただ、あえて激辛ポイントを挙げるなら、プラーミャ(爆弾魔)の動機や背景がやや弱いと感じた。彼女がどうしてそこまで執念を燃やすのか、過去に何があったのか…説明が少ないわけではないが、観客によっては「もう少し深掘りしてほしかった」と思うかもしれない。組織との絡みや、世界観の複雑さを短い上映時間の中に詰め込んだ結果、多少の物足りなさが残った印象だ。とはいえ、細部にこだわらずエンターテインメントとして楽しむなら問題なしともいえる。

また、本作では複数のロシア系キャラクターが話の大きなキーパーソンになっているので、原作やTVシリーズを追っていない観客にはちょっと情報量が多いかもしれない。警察内部の動きや公安の捜査手法なども、やや駆け足で説明されるが、そこは勢いで乗り切る作りになっているため、一度観ただけではストーリーを全部把握できないかもしれない。二回目・三回目の鑑賞で「あ、そういうことか!」と合点がいく箇所が多いのは、ある意味コナン映画らしい部分だろう。

全体を通して言えるのは、キャラ同士の連帯感や過去の因縁が一つの大事件へと結びつく様子が痛快で、終盤にはしっかりとカタルシスが訪れる構成が秀逸だということ。前作や前々作にも感じられたアクションの強化路線をさらに加速しつつ、かつての主要キャラを回想で登場させるファンサービスもしっかり盛り込んでいる。

ちょっとくどいくらいの怒涛の展開だが、劇場版コナンにはそれを期待している自分もいるので、結果的には大満足。ラストの高木と佐藤のやり取りにニヤニヤしながら、エンドロール後に訪れる「次回作の予告」に「おいおい、ついにそっち側行くのかよ…!」といい意味で衝撃を受けた。

まとめると、“過去”と“現在”が交錯し、さまざまな思いが渋谷の街でぶつかり合う熱い物語だった。警視庁のメンバーが総出で活躍し、公安も一枚岩ではない複雑さを見せながら、新旧ファンの心をつかんで離さない仕上がりだ。もし自宅でじっくり観るとしたら、何度も巻き戻して細かいセリフや演出を確認したくなるだろう。逆に劇場では「スクリーンの迫力と音響を全身で受け止める」快感が最高なので、可能であれば大きなスクリーンで観てほしい。

劇場版コナンの新たな金字塔になるかは意見が分かれるかもしれないが、“警察学校組”の存在を大切に思うファンや捜査一課の恋模様に期待するファンにとっては必見の一作といえるだろう。

映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」はこんな人にオススメ!

本作に興味を抱きそうなタイプを挙げると、まずは警察学校組の回想エピソードにときめく人だろう。原作やスピンオフを読んでいる方にとっては、松田や萩原らが映像で活躍するシーンは涙なしには観られない。あのころの警察学校組がどのように事件と対峙していたか、その断片を知るだけで胸が熱くなるのだ。

さらに捜査一課のカップリングを愛する人にも外せない一作だと断言できる。長年引っ張ってきた二人の絆がどんな場面でクライマックスを迎えるのか、思わず「待ってました!」と言いたくなる演出がある。周囲の刑事たちとのコミカルな掛け合いも、シリーズを彩る大きな魅力なので堪能してほしい。

また、派手なアクションや豪快な爆発シーンを期待する人にもおすすめできる。最近の劇場版コナンはアクション映画並みにド派手な展開が多いが、本作も例に漏れず手に汗握る映像が盛りだくさんだ。巨大ビル群の間を駆け回り、首輪爆弾が宙を舞い、渋谷という日本屈指の大都会が一挙に騒然となる光景を楽しめる。

最後に、公安や海外組織を含む複雑な人間ドラマが好きな人にも見応え十分だと言っていい。今回はロシア勢が深く関わるだけでなく、警視庁や公安の内部事情も絡まってくるため、いつもの探偵モノとはひと味違う緊張感がある。大まかなストーリーを理解してから二回目の鑑賞に挑めば、物語の奥行きに再度驚かされることだろう。

まとめ

本作は、過去作からのファンに向けたサービス精神が詰め込まれつつ、新しい視聴者でも十分に楽しめるエンターテインメントに仕上がっていると感じる。爆破や銃撃戦といったアクション要素がテンポよく盛り込まれ、終始飽きずにスクリーンに釘付けになるはずだ。
また、警察学校時代の仲間たちが残した軌跡と、渋谷の街中で繰り広げられる激しい攻防戦が見事にリンクし、最後には「なるほど!」と頷ける展開が待っている。そこに捜査一課の恋愛ドラマも加わり、大満足の一本ではないかと思う。

シリーズを追いかけてきた人なら、あの人が残した何気ないアドバイスや、同期同士のやりとりに思わず胸を打たれるはずだ。もちろん、劇場ならではの迫力も味わえるので、時間と予算に余裕があるならぜひ映画館の大きなスクリーンで観てほしい。

観終わったあとは、きっと過去の劇場版や原作のエピソードを改めてチェックしたくなること間違いなし。まさに「また見返したくなる」作品だったと断言できる。