映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!
吾輩は普段から映画にはうるさいほうであるが、まさかアニメ作品の続編映画でここまで熱くなるとは思わなかったである。炭治郎や禰豆子、そして柱たちの活躍に心踊らされながら、思わず泣きそうになった自分に少々驚いている。とはいえ筆者は辛口評価を自負しているゆえ、この「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」にも容赦なくツッコミを入れる所存である。
鬼殺隊と鬼の戦いがいよいよ佳境に入りつつある本作は、ただのバトルアニメと侮ることなかれ。炭治郎たちの苦悩や成長、そして柱の存在感にグッと心をつかまれ、気づけば劇場の暗闇でハンカチを握りしめていたである。アニメのTVシリーズをすっ飛ばして観ると置いてきぼりになりそうだが、それでも映像の迫力と感情のうねりにただただ飲み込まれるだろう。
そんな「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の魅力を、笑いあり涙ありで徹底的に掘り下げるので、ぜひ最後までついてきていただきたい。なお、あまりの盛り上がりに、ポップコーンよりもハンカチの売上が上回ったのではないかと疑うレベルであるが、そこも含めて本作の壮絶さをしかと目に焼き付けてほしいと思う。
映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の個人的評価
評価:★★★★☆
映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の感想・レビュー(ネタバレあり)
本作の舞台となる無限列車は、どうにも不穏な空気が漂っている乗り物である。炭治郎や善逸、伊之助といったおなじみの面々が、炎柱の煉獄杏寿郎と合流して任務に臨む流れは、ファンであればワクワクが止まらないシチュエーションであろう。列車内での鬼の気配に鋭く反応する炭治郎たちだが、そこから起こる出来事が想像以上に壮絶であるため、一瞬たりとも気が抜けない展開になっている。
まず注目すべきは、列車そのものが鬼の標的として利用されている点だ。乗客を生け贄にして食らおうとする鬼の策略は、ある意味ホラー映画さながらの設定であるが、そこに鬼殺隊のメンバーが勢ぞろいしている時点で、こちらとしては「おいおい、こんな閉鎖空間で大立ち回りするつもりか?」とワクワクが止まらない。実際、列車内でのバトルシーンは機関士さんも真っ青な騒音レベルでありながら、作画の迫力とキャラクターの感情表現が見事に噛み合っていて、スクリーンに釘付けである。
さらに、炭治郎の心の中に入り込む描写があることで、ただ斬って斬られてのアクションにとどまらず、キャラクターの内面世界がより深く掘り下げられる点も評価したい。美しい夢の中で家族との再会を果たしつつも、鬼の術に操られていることを自覚する炭治郎の葛藤は、原作ファンも新規の観客も心を揺さぶられること間違いなし。そこから一気に切り替えて、己の首を斬ることで夢から覚めるという、なかなか衝撃的な方法も印象深い。夢の甘美さを断ち切る炭治郎の覚悟に、思わず拍手を送りたくなるのだ。
善逸と伊之助もそれぞれ独特の夢の世界を体験しており、ここでは彼らの性格や潜在的な想いがにじみ出てくる。その一方で、煉獄さんの堂々たる立ち回りは「さすが柱!」と唸らざるを得ない迫力である。列車の中で怪しい気配を察知したときの瞬発力、そして鬼への対処の早さは「これぞ人類最強の炎柱!」と惚れ惚れするレベル。筆者などは彼の太刀筋の美しさに見とれてしまい、「この人ならどんな焼き魚も完璧に炙ってくれそうだ」と、わけのわからない感想まで漏らしてしまったほどである。
さて、本作におけるラスボス的ポジションに鎮座するのが下弦の壱・魘夢(えんむ)である。この魘夢という鬼は、人間を眠りに落として幸せな夢を見せる代わりに、精神の核を破壊しようとする厄介極まりない能力を持っている。列車自体が魘夢と融合してしまう展開は、原作でも衝撃的であったが、映画ではその恐怖感と絶望感が数倍に増幅されている印象だ。無限列車が「食堂車」どころか「鬼の胃袋」みたいになってしまうシーンでは、「これ、鉄道オタクが泣いてしまうやつでは?」と妙な心配をする余裕すらなかった。
しかし、炭治郎と伊之助が見事な連携で魘夢の急所を探り当てたシーンは痛快である。炭治郎の冷静な判断力と、猪突猛進の伊之助の力押しスタイルが絶妙にマッチして、列車の外れた部分を切り込む様子は見どころ満載だ。特に、「俺の嗅覚は伊達じゃない!」とばかりに鬼の弱点を突き止める炭治郎の姿には、観客としても「早く斬ってくれ、もうこの圧迫感に耐えられない!」と声援を送りたくなる。こうした息もつかせぬアクションの連続こそが、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 レビュー」を語る上で外せないポイントである。
そして、本作最大の見せ場ともいえるのが、上弦の参・猗窩座(あかざ)の登場である。観客としては、「いやいや、下弦の鬼との死闘だけでもう腹いっぱいですけど?」と言いたくなるタイミングで、さらなる強敵を投入してくる容赦のなさに震える。煉獄さんと猗窩座の激突は、ただの殴り合いではなく、お互いの信念と生き様が激しくぶつかり合うドラマでもある。猗窩座の「強さこそ正義」という思想と、煉獄さんの「守りたいものがあるからこそ強くなる」という信念の対比は見応え抜群だ。
煉獄さんの炎の呼吸の型が繰り出されるたびに、スクリーンは燃え上がるような色彩とエフェクトに包まれる。筆者は一瞬、「これ、劇場が火事になってしまうのでは?」と本気で心配したほど、映像表現が迫力満点である。それと同時に、猗窩座のカウンター攻撃は鬼ならではの身体能力で繰り出され、煉獄さんの心身をジリジリと追い詰めていく。戦闘シーンの音響も素晴らしく、拳と刀がぶつかるたびに座席が微妙に振動するような感覚すらあった。まさに圧倒的な没入感である。
だが、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 感想」を語るうえで避けて通れないのが、煉獄さんの最期のシーンだ。猗窩座との死闘を経て、満身創痍になりながらも、最後の力を振り絞る煉獄さんの姿は、まさに人間の可能性を体現しているといえる。「俺は俺の責務を全うする!」という名セリフとともに、仲間たちの未来を託す姿には、多くの観客が涙腺を決壊させたことだろう。筆者も例外なくハンカチをぐしょぐしょにしながら、「オレももっと頑張らんとな」と謎の士気を高めてしまった。
こうして鬼は夜明けとともに撤退し、列車事故の後処理という現実問題が見えてきたところで、物語は幕を閉じる。煉獄さんの尊い犠牲が炭治郎たちに与えた影響は、今後の展開を大きく左右するであろう。アニメの続きを待ちつつ、「ああ、また煉獄さんに会いたい…」としばし空を仰いでしまうほど、本作は強烈なインパクトを残す結末となっている。
キャラクターの成長物語としても秀逸でありながら、バトル描写のパワーも全開。そこに加えて、友情や家族愛といった要素が濃厚に詰め込まれているあたり、まさにエンターテインメントの極致といえよう。多くの人が「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 レビュー」に熱狂している理由が、実際に観れば五感で理解できるはずだ。筆者のように泣き笑いしながらポップコーンを散乱させる観客が続出したのも、むしろ自然の成り行きというものである。
とはいえ、あまりに完璧な仕上がりに見える本作にも、あえて辛口のツッコミを入れるならば、「ちょっと詰め込みすぎでは?」という点が挙げられる。短い上映時間の中で、複数の鬼との対決、各キャラクターの内面描写、煉獄さんのドラマ…と、盛りだくさんすぎて気持ちが追いつかない観客もいたかもしれない。だが、それもまた鬼滅の刃の魅力のひとつである「怒涛の勢い」を体現しているといえよう。原作を読み込んでいる人からすれば、「これでもまだ抑えてるほうだよ」と思うかもしれないのだから恐ろしい。
もう一つツッコミたいのは、やはり猗窩座が最後に逃げるくだりである。夜明けを迎えたことで動きが鈍った猗窩座が、ヒタヒタと森の中へ逃亡していくシーンは、「ここで決着つけてくれよ!」と叫びたくなるほどのもどかしさがある。だが、ここでスパッと鬼を仕留めてしまっては、この先の物語が盛り上がらないのも事実。ある意味、観客をジレンマに陥れるこの展開は「うまい手だな」と感心する部分でもある。
本作はテレビアニメ版からの続編として位置づけられているため、事前にアニメを視聴しておくことがベストであるが、未見の人でも圧倒的な映像と感情の起伏で十分に楽しめる点は大きい。作画のクオリティは文句なしで、特に炎や血しぶきの表現は迫力満点である。映画館のスクリーンで観るからこそ味わえるド迫力映像は、本作の真骨頂といえるだろう。
声優陣の演技力も絶品で、炭治郎役の花江夏樹が魅せる泣きの演技から、煉獄さん役の日野聡の力強い演技まで、キャラクターの魂が伝わってくるようだ。善逸の甲高い叫び声も相変わらず健在で、「こいつ、大丈夫か?」と心配するより先に吹き出してしまう。しかし、そこには仲間を思う気持ちや自分の臆病さに打ち勝とうとする決意がしっかりと感じられるから、ただのコメディキャラに終わっていないところがニクい。
また、映画オリジナルのBGMや挿入歌が物語をさらに盛り上げてくれる。特に終盤の煉獄さんと猗窩座のバトルシーンでは、音楽が怒涛のように感情を煽り立て、観客の心拍数をガンガン上げにかかってくる。劇場全体がまるで煉獄さんを応援する大合唱隊と化したかのような錯覚さえ覚えるのだ。筆者は劇場のど真ん中で「煉獄さーん!」と叫びそうになり、自分自身を必死に抑え込んだほどである。
ストーリー面では、煉獄さんの過去や家族との関係性がもう少し描かれていたら、さらに感情移入が深まったかもしれないが、それでも十分に彼の魅力が伝わってくる。一見すると熱血漢の単細胞キャラに見えるが、実は内面には強い責任感と弱さを抱えている。そんな彼が最後まで自分の信念を貫く姿は、ヒーロー像の究極系ともいえるかもしれない。原作をすでに読んでいる人にとっては復習的な要素が強い部分もあるが、あのシーンが動く映像で見られるだけでも価値があるというものだ。
一方で、本作のテーマとも言える「家族愛」や「守りたいものがあるからこその強さ」は、炭治郎をはじめとする若き鬼殺隊メンバーにも通じるものがある。炭治郎の中には、いつも亡き家族の面影があり、それが彼の原動力となっているのは言うまでもない。だからこそ、彼はどんな苦しい状況でも前へ進もうとするし、猗窩座のように「自分さえ強ければいい」という考え方にはどうしても納得できないのだ。そうした価値観の衝突が、本作の戦闘シーンを単なるアクションの域を超えたドラマに昇華しているといえよう。
もちろん、笑いどころも適度に用意されている。善逸の夢の中での妄想全開シーンや、伊之助の野生児っぷりは相変わらずで、本作がシリアス一辺倒にならないようにバランスを取っている。血しぶきが飛び交うハードな戦闘の合間に、ちょいちょい挟まれるギャグが観客の心を軽くしてくれるのだ。この絶妙なギャップこそが、鬼滅の刃という作品の強みではないだろうか。
総じて、本作「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、キャラクターの魅力と重厚な物語、圧巻のアクションが三位一体となった傑作アニメ映画であると断言できる。ストーリーの核となる煉獄さんの生き様は観る者の胸を熱くし、炭治郎たちの友情と成長は、これからのシリーズをますます追いかけたくなる原動力となるだろう。ラストの余韻に関しては、正直まだまだ見足りない部分もあるが、それこそが続きへの期待を大いに煽っているわけである。
「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 感想」を総括すれば、涙と笑いが入り乱れる壮大なエンタメであり、ファンはもちろんのこと、新規の人でも一気に世界観に引き込まれてしまう吸引力を持っている。劇場を出るころには、「ああ、煉獄さんのように胸を張って生きていきたいものだ」と妙に前向きな気持ちになるかもしれない。かくいう筆者も、映画の翌日に腹筋ローラーを購入してしまったほど影響を受けてしまった。
確かに泣かせにかかる演出が露骨という声もあるが、そんなことは斬り捨て御免である。煉獄さんが放つ一言一言が熱い魂を帯びている以上、観客が涙腺崩壊してしまうのもやむを得ない。むしろ心が乾ききった人ほど、「こんなに素直に涙を流せたんだな」と驚くのではなかろうか。本作はそのくらい強烈な感動を叩き込んでくるパワーを持っているのだ。
最後に、個人的に感心したのがエンドロールの演出である。劇中の激しい戦闘やドラマを思い出させるような映像が流れつつ、スタッフやキャストの名前が映し出されると、改めてこの作品が多くの人々の情熱と技術によって支えられていることを感じる。エンドロールが終わるまで席を立たずに、余韻に浸り続ける観客が多いのも本作ならではの光景だろう。
こうして、約2時間にわたる死闘と涙の旅が終わったわけであるが、正直いって「もっと観ていたかった!」というのが率直な感想である。アニメシリーズの続きも気になって仕方がなくなるし、もしも今後のシリーズで煉獄さんの過去エピソードなどがさらに描かれるなら、筆者はもうポップコーンを買い占めて映画館に住み込む覚悟すらある。本作はそれほどまでに観る者を引き込み、感情を揺さぶり、そして次回作への期待を引き上げる力を持っている。
総評としては、鬼殺隊の魅力を余すところなく描ききった華麗なる戦いの饗宴といえるだろう。映画館で観る価値は十二分にあるので、未見の方はぜひチケットを入手し、一緒に心を燃やしてもらいたいものである。
映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」はこんな人にオススメ!
まず、アニメをあまり観ない人でも、思わず画面に吸い込まれてしまう迫力映像を求める方には最適である。なにしろ、炎の呼吸がスクリーンいっぱいに舞い踊り、列車が鬼と融合して大暴れするという、ちょっと頭が追いつかないスケールで展開するのだから、普段は実写映画ばかり観ているという人でもきっと度肝を抜かれるだろう。
さらに、泣きたい気分を一気に解消したい人にもおすすめである。本作は、情に厚い炭治郎や熱血漢の煉獄さんなど、魅力的なキャラクターがバトルに命を賭して挑む姿を惜しみなく描いている。その様子があまりにも熱すぎて、いつの間にか目頭がジワリと温かくなること必至だ。涙で目が潤むと視界もぼんやりしてくるが、その分、映画鑑賞後にはなんともいえない爽快感が心に広がるだろう。
また、「仲間」という言葉に弱い人にはたまらない一作でもある。炭治郎・善逸・伊之助という3人の掛け合いはコメディの要素を含みつつも、いざというときにはお互いを助け合う熱い友情が炸裂する。煉獄さんを含めて全員の個性がぶつかり合いつつも、同じ目的のために立ち上がる姿には、仲間同士の絆の尊さを再認識させられるはずだ。
最後に、「とにかく熱量のある作品に触れて、自分のモチベーションを上げたい」という人にも全力でプッシュしたい。登場人物たちのひたむきさや、絶望に抗う強い意志を目の当たりにすると、不思議と「自分も何かやらねば!」という気分になる。鬼を斬る勇気はなくとも、何かに挑戦するパワーをもらえるはずである。映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、そんなエネルギッシュな体験を求める人々にうってつけの一本といえよう。
とりわけ「最近なんだか気持ちが停滞している…」と感じる人には、この激アツな世界観が強烈な刺激になること間違いなしである。観終わったころには、無限列車に乗り込んで自分の殻を破り捨てたかのような高揚感が味わえるだろう。
まとめ
本作「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、怒涛のバトルと涙腺直撃のドラマが詰まった、まさに“超特急”級のアニメ映画である。煉獄さんの一挙手一投足に心が燃やされ、炭治郎たち若い世代の成長に胸を打たれ、鬼の恐ろしさに肝を冷やしつつも、それすらも楽しみに変えてしまうようなパワーがある。全編を通してテンポが良く、観終わったあとは「こんなに2時間が短く感じた映画は初めてだ」と驚かされるだろう。
辛口で挑んだ筆者も、結局はハンカチ片手に号泣してしまい、ポップコーンが涙でしなしなになった始末である。だが、その悔いのない爽快感こそがこの作品の魅力だと言える。最後まで諦めず仲間を信じ抜く鬼殺隊の姿勢に、自分ももっと頑張ろうと気合が入ること請け合いである。これまで鬼滅の刃を観たことがない人も、ぜひ無限列車へ乗り込み、煉獄さんの熱き魂に触れてみるべし。
とはいえ上映後はかなりの消耗を覚悟すべし。気づけばハンカチが使い物にならなくなるほど濡れているかもしれない。しかし、そこにこそ熱くなれる理由がある。ここまで魂を揺さぶってくれる作品には、そうそうお目にかかれないであろう。
一度乗車したが最後、あなたも鬼滅の刃の世界から降りられなくなるかもしれない。