映画「トリック 劇場版2」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!

超常現象とトリックの絶妙なマッチングを思う存分楽しめる本作は、前作の劇場版からさらにパワーアップして登場している。主人公の自称天才マジシャン・山田奈緒子と、おなじみの上田次郎教授が繰り広げるコミカルかつスリリングな展開は、笑いと驚きが絶えないスパイシーな仕上がりである。とはいえ、いつも通りのゆるゆる感も健在で、観終わったあとには妙にクセになる不思議な味わいが残る作品といえよう。

今作では、村を巻き込んだ怪事件が発生し、奈緒子と上田が再びタッグを組むが、その裏には意外な仕掛けやどこかトリックらしい“おバカ”な要素が山盛り。果たして彼らは真実にたどり着くのか、そして観客の腹筋は無事に生還できるのか。そんなドキドキ感と、思わずツッコミたくなるシュールなギャグが同居する映画「トリック 劇場版2」を、ここでは激辛な視点で切り込んでいく。さらに、前作からのファンにとって嬉しい小ネタも盛りだくさんで、思わずニヤリとする場面も多い。

これらの要素を容赦なくdissect(解体)し、本作の魅力と毒を同時に味わっていただきたい。そして最後には、笑いすぎて腹筋を犠牲にするかもしれないので要注意である。

映画「トリック 劇場版2」の個人的評価

評価:★★★☆☆

映画「トリック 劇場版2」の感想・レビュー(ネタバレあり)

ここでは、映画「トリック 劇場版2」の感想・レビューを激辛テイストで語っていこうと思う。まず、本作を語るうえで外せないのは、山田奈緒子と上田次郎の絶妙な掛け合いである。何しろ、山田は自称天才とはいえ常にお金に困り気味で、上田は偉そうに見えてどこか抜けている。その二人が、不可解な事件に首を突っ込みながらも、あの手この手でトリックを暴く様子は観ていて実に痛快だ。しかし痛快といっても、どうにもズレた方向に暴走するギャグや、下らないとすら思える展開が頻繁に挟まるため、真面目に観ようとすると肩すかしを食らうかもしれない。もっとも、それが「トリック 劇場版2」の魅力なのだから困ったものである。

今作のストーリーは、ある村で起こった怪事件をきっかけに、山田と上田が再び調査へ乗り出すところから始まる。村人たちの言う“神様”が本当に超常現象を引き起こしているのか、それとも人為的な悪巧みなのか。その真偽を暴くために、二人がせっせと証拠を集めたり関係者に突っ込んでいくのだが、その過程でどれだけしょうもない掛け合いが炸裂するかが本作最大の見どころともいえる。ちょっとだけ高尚な科学用語を披露しつつ、すかさず下ネタで台無しにする上田のスタイルは、もはや芸術の域に到達しているのではないかとすら思う。

加えて、今作では奈緒子の手品シーンが強調される場面があるのだが、そのマジックが正直言ってショボい。いや、ショボいというより、バレバレ感が逆に愛おしくなるレベルで、これぞトリックシリーズの真骨頂だと唸らされる。また、ゲストキャラクターたちもかなり濃い面々が揃っており、彼らの怪しげな挙動ひとつひとつが伏線なのかただの笑いどころなのか分からない。その曖昧さが結果的に物語に妙な緊張感をもたらしつつ、同時に笑いという緩衝材を供給しているのだから、なかなかの曲者ぞろいである。

しかし一方で、物語がクライマックスに近づくにつれ、いつも通りの“え、そこがオチ?”的な展開が待ち受けているのも、ファンにはお約束と言えるだろう。結局、本当に不思議な力が存在するのかどうかという問題は、最後まで真剣に取り合おうにもツッコミどころが多すぎるために、深く考えてはいけないのが「トリック 劇場版2」流の楽しみ方である。要するに、この映画では超常現象と科学的知識がバトルを繰り広げるというより、どこまでバカバカしいギャグを盛り込めるかという勝負になっている印象すらある。

ただし、そこに魅了される人はとことんハマるだろうし、合わない人はものの数分でリモコンを探し始めるかもしれない。個人的には、その極端な振れ幅こそが「トリック 劇場版2」の華だと思う。例えば、村人役のキャストが大真面目に演じているはずの場面でも、よくよく見ると変なところにツッコミどころが用意されていたりして、鑑賞中に気が抜けない。静かなシーンでも油断すると不意にギャグが炸裂し、吹き出してしまうなんてこともある。あるいは、意外と緻密に張り巡らされた伏線が後半に生きてくるシーンもあるにはあるが、そこですらギャグ要素が拭いきれないのが何とも可笑しいところである。

また、劇中で登場する不思議な儀式の数々は、まるで悪ふざけ満載の自主制作映画かと思うほどにチープ感が炸裂している。いかにも「ほら、こういうの怖いでしょ?」と言わんばかりの雰囲気をわざわざ醸し出しておいて、最終的にはそこにメスを入れる形で冗談のようなトリックが暴かれる展開も健在だ。だが、そのトリックがバレバレなのに、村人たちが深刻な面持ちで振る舞う様子が余計に笑いを誘うからズルい。普通であれば「そんなわけないだろ」と一蹴されるような演出が、トリックシリーズの世界観ではむしろ支柱となり、観客としても「これが観たかったんだよ!」とニヤニヤしてしまうのだ。

加えて、忘れちゃいけないのが矢部謙三刑事の存在感である。彼は“自称名刑事”という立ち位置ながら、山田や上田以上にヘンテコな言動を繰り広げ、事件をややこしくするのに貢献しまくっている。挙げ句の果てには意味不明な形で傷口を広げるような突拍子もない行動に走ることもしばしば。そういうキャラクターが脇を固めることで、ストーリー全体がカオスに向かうのだが、不思議と嫌味がないのは「トリック 劇場版2」の大きな特徴だと思う。むしろ、矢部刑事の出番がないと物足りない、という人すらいるかもしれない。

このように、作中には変人&変態キャラが次々と出現し、ギャグに次ぐギャグが繰り広げられるのだが、一方でかろうじて推理ドラマとしての骨格が残されているのも侮れない点だ。いや、推理というよりは「こんな荒唐無稽な仕掛けを思いつくなんて」的な逆方向の感心が強いかもしれない。実際のところ、一度観ただけでは「あれ? この部分はどういう意味だったんだ?」と疑問が残るシーンもある。そこを改めて見返すと、「ああ、ここでこんなおバカ仕掛けが伏線になっていたのか!」と妙に納得してしまうのだ。こうした二段階の楽しみがあるからこそ、リピート鑑賞したくなる魅力があると感じる。

しかしながら、本作の良さを理解するには、まず“バカになって観る”姿勢が必要だと痛感する。真面目な映画を想定していると、「いや、この演出はいくらなんでも…」と目を疑う瞬間が頻発するはずだ。特に後半になると、村の秘密や登場人物の動機が明かされるのだが、その全貌を冷静に考えると、ツッコミどころの大渋滞である。普通のミステリー映画なら絶対に起こり得ないような偶然の重なりやあり得ない行動原理が、堂々と展開されるから驚きだ。ただ、その理不尽さを「まあ、そういう作品だし」と受け流せる心の余裕があれば、一瞬でトリックの世界観に溶け込めるだろう。

そして、実は奥底に人情的なテーマが見え隠れするのもこのシリーズの不思議なところである。ギャグでチャカしているように見えて、登場人物の抱える過去や人間関係には妙にリアリティが潜んでいる。ちょっと泣きそうになるような場面が急に現れたりもするが、だいたいその直後にふざけるのが「トリック 劇場版2」流だ。悲しみと笑いを一緒くたにするセンスは、日常のバカバカしさを肯定するようなメッセージにも感じられて、個人的には結構好きである。

ラストシーンは、例によって観客に「結局どういうことだったんだ?」とモヤモヤを残すような終わり方をするが、そのモヤモヤこそが作品の味わいとも言える。映画が終わったあとも、あの場面の真意を考えてみたり、次回作でまたさらにわけのわからない展開が続くのではないかと妄想してみたり。そこまで含めてトリックシリーズを楽しむのが正しいスタンスではないだろうか。本当にミステリーやサスペンスの定石を追求したい人からすると、あまりにもふざけすぎていて合わないかもしれないが、笑いあり不思議あり、時々ホロリありの多彩な味がやみつきになる人は多いはずだ。

一方、ネタバレ要素としては、クライマックスで明かされる“驚くべき正体”に関して、正直言って「いや、それは無理あるでしょ?」とツッコミたくなるのは仕方ないところだろう。しかしながら、作品世界の秩序においてはそれこそが自然なのだ、と割り切ってしまえば何も問題ない。むしろ、その“無理やり感”を楽しむのが「トリック 劇場版2」の真髄であると断言したい。観ている側も、本気で謎解きを求めているわけではなく、如何に下らない方向に話が転がっていくかを期待している部分があるのではないだろうか。そう考えると、あの結末はある意味で理想的だとも言える。

総括すると、「トリック 劇場版2」はミステリー映画としてはかなり破天荒な作品だが、コメディとしては抜群の化学反応を見せてくれる。全体的にチープな演出と、そこを逆手に取った斜め上のギャグ展開は、ほかの作品ではなかなか味わえない独特の魅力だ。加えて、キャラクター同士の関係性がシリーズを追うごとに深みを増すため、本作も一種の“寄席”のような安心感がある。極端な話、ストーリーを忘れていても、このキャラクターたちの掛け合いを観るだけでお腹いっぱいになれるのだから、ある意味でお得といえるだろう。

もっとも、通常の意味での映画の完成度を期待してしまうと、残念ながら評価は大きく下がるかもしれない。しかし、それを補って余りあるほどの笑いと馬鹿馬鹿しさ、そして微かに沁みる人情が詰まっているのが「トリック 劇場版2」の醍醐味である。筆者としては、真面目に観るよりもポテチ片手にゲラゲラ笑いながら楽しむのが正解だと強く推奨したい。そして、もし初見でもその雰囲気にハマれば、きっとシリーズの他の作品も漁りたくなること必至であろう。

とはいえ、本作にはいくつか技術的に優れているポイントもある。カメラワークや編集はあえてのチープ感を演出しているようで、そこに徹底したこだわりが見えるのだ。たとえば、あまりにもベタなスロー演出や、唐突な回想シーンの挿入など、普通なら「やりすぎ」と批判されがちな手法を逆手に取り、笑いを誘うアクセントとして活かしている。それはまるで、監督以下スタッフ全員が「バカバカしいことを真剣にやる」というテーマを忠実に守っているかのようでもある。

さらに、音楽や効果音の使い方も独特で、シリアスな場面でも急に軽妙なBGMが流れることで、登場人物の真面目さを嘲笑うかのような雰囲気を醸し出す。これによって「本当はシリアスなはずなんだけど、全然そう感じられない」というズレが生まれ、そのギャップが中毒性を高めているのだ。こうした演出の積み重ねが、「トリック 劇場版2」という作品全体を不思議な世界に引きずり込み、笑いとちょっとしたホラー要素を絶妙にミックスさせる結果を生んでいるのではないかと思う。

結論から言えば、本作を観るときには、細かいストーリーの整合性やリアリティを求めるのではなく、「バカバカしさ」というスパイスを噛みしめる心構えが必須である。もちろん、ミステリー好きとしてはトリックの解明や伏線の回収も気になるところだが、この作品においてはそこがメインディッシュではない。むしろ、キャラクターたちのボケとツッコミの応酬や、ありえない偶然が重なるお約束の展開がどこまでエスカレートするのかを楽しむのが正解だ。

一方、真面目にミステリーを堪能したい人にとっては「何これ? ただのコメディじゃん」と物足りなく感じる可能性も高い。だが、それを割り切ってしまえば、独特のテンポ感とキャラクターの愛らしさに気づくだろう。上田が見せるちょっとしたドヤ顔や、奈緒子のひょうひょうとしたリアクション一つとっても、シリーズを通じて積み重ねられてきた愛嬌が詰まっている。そこに矢部刑事やその他の濃いキャラクターたちが加わり、一つのドタバタ喜劇を完成させているのだ。

最終的に、「トリック 劇場版2」は観る者を選ぶかもしれないが、その分、ハマる人はとことんハマる。それはまるで、辛党が辛い料理を食べて「もっと辛く!」と叫ぶのに似ている。最初から最後まで突拍子もない展開に身を任せ、「なにこれ?」と笑い転げるひとときこそが、何ものにも代えがたいエンターテインメント体験となるのだ。結局、この映画の真のトリックは、観客の期待値を外しまくりながらも、いつの間にか笑顔にさせてしまう点にあるのではないだろうか。

もしあなたが初めて「トリック」を体験するなら、本作は少々ハードルが高いかもしれない。なにしろ、シリーズ特有の内輪ネタやキャラクター関係がいきなり全開モードで突き進むからである。だが逆に言えば、本作をしっかり楽しめるなら、他のエピソードにも興味がわいてくるはずだ。この劇場版2で提示される新たな怪事件の荒唐無稽さや、次々と裏切られる常識に耐えられるのであれば、きっとあなたはこのシリーズの虜になれる。何度も観て笑い転げるも良し、新たなトリックを探すも良し、とにかく懐が深いのがこの映画の醍醐味である。

以上、映画「トリック 劇場版2」の感想・レビューを、ネタバレを含めつつ激辛目線でお届けした。次はあなた自身の目で、そのふざけすぎな世界観の正体を確かめてほしい。

映画「トリック 劇場版2」はこんな人にオススメ!

「トリック 劇場版2」は、何でも真面目に突き詰めるよりも、多少の無茶苦茶さを笑って受け入れられる人にぴったりの作品だ。極端な例を挙げれば、ゆる〜いバラエティ番組を観る感覚で挑むほうが楽しめるだろう。そこにはミステリー映画らしからぬギャグの連続と、時折顔を出すホロリとくる人情要素が同居しているからだ。ある程度のバカバカしさを好む人、そして細かい部分は突っ込まず「まあ、そういう世界観だから」と笑い飛ばせる人なら、きっと本作の波長に合うはずである。

逆に、緻密な推理やシリアスなドラマを求める人には、ちょっと刺激が強いかもしれない。真剣に考察を試みれば試みるほど、「あれ?」と思うような矛盾やご都合主義的な展開が次々に出現するからだ。しかし、その理不尽さこそが「トリック 劇場版2」の醍醐味であり、制作者側もあえて全力でふざけに振り切っているのだと思えば、意外とハマる可能性もある。普段は固い作品ばかりを観ていて、ちょっと肩の力を抜きたいと感じている人にもおすすめだ。何も考えずにゲラゲラ笑いたい夜があるのなら、この映画は理想的な相棒になってくれるだろう。

さらに、シリーズのファン同士で「ここのネタが面白かった」「ここの展開は意味不明すぎる」などと語り合うのも醍醐味のひとつだ。人によってツボにハマるシーンがまるで違うため、各自が見つけた“笑いのポイント”を共有すると、大いに盛り上がること必至である。そうしたコミュニケーションツールとしても機能するのが、本作の懐の深さといえるだろう。

つまり、「世の中にはこんなにバカバカしいエンタメもあるんだな」と笑顔で受け止められる人にとって、これ以上ない気晴らしになるはずだ。通常の感覚が麻痺するほどのトリック連発を、あえて堪能してみるのも一興である。まさに、笑いの渦に巻き込まれながらも、どこかあたたかい気持ちになれる、ユニークな作品なのである。

まとめ

まとめとして、「トリック 劇場版2」は一言で言えば“バカバカしさと笑いの極致を味わう映画”である。

ミステリーとしての体裁を整えつつも、そこに真面目さを求めるのは酷というものだ。むしろ、あらゆる場面でツッコミ要素が満載なところこそが魅力であり、意外にも人情味や切ないエピソードが交錯する独特のバランスも見逃せない。深く考えずに視聴すれば、ギャグの連鎖で腹筋が大破しかねないほど笑えるし、細部のネタを拾いながら鑑賞すれば、二度三度と観返したくなるリピート性も高い。要するに、本作は観る者をハイテンションの宴へ誘うスパイシーなエンターテインメントと言えるだろう。ちょっと疲れた日や、ひと笑いしたい夜にはピッタリの一本である。

ただし、完全に肩の力を抜いた状態で鑑賞することを推奨する。真面目に解釈しようとすると、理屈では説明不能な展開や、明らかに無理のある結末に頭を抱えてしまうかもしれない。しかし、その割り切り方を受け入れられれば、映画の中の世界にすっと入り込み、不思議な多幸感が得られるから不思議だ。最終的には、作品が掲げる「とにかく笑ってやれ!」という精神こそが、観る者に前向きなパワーを与えてくれるのだ。