映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」公式サイト

映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!

本作は人気SFロボットアニメ「機動戦士ガンダム00」の劇場版にあたる作品であり、宇宙空間を舞台にした壮大な戦いと人類の革新を描いている。テレビシリーズの続編として、主要キャラたちのその後の活躍や新たな敵との対峙が見どころになっているのだが、ひとつ言えるのは「思ったよりもすごい展開になっちゃったな」ということである。

正直、ガンダムシリーズにおける“革新”というテーマはもはやお家芸のようなものだが、今回の劇場版はそのお家芸を一歩飛び越えて「まじで宇宙規模のトンデモ展開」に突入しているのだから驚きだ。もちろんガンダムファンとしてはワクワクを抑えきれない部分もあるが、一方で「いやいや、そこまでやる?」とツッコミを入れたくなる要素もてんこ盛り。だが、そうした賛否を巻き起こすのもガンダムならではの魅力であり、むしろそこが醍醐味と感じるファンも多いのではないだろうか。

ここからは愛ある激辛のトーンで、本作の衝撃的な物語展開やキャラクターたちの魅力、そしてある意味“やり過ぎ”とも言える要素を思いっきり語っていく。伝説級のモビルスーツバトルはもちろん、意外すぎる新勢力の登場や人類の進化をめぐる深いテーマなど、見どころは山盛りだ。さあ、このレビューを読むあなたが、果たして本作の超展開を受け止められるのかどうか……? 腕を組んで構えていただきたい。というわけで、ネタバレ全開で本作の魅力を掘り下げていこうではないか。

 

映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」の個人的評価

評価: ★★★☆☆

映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」の感想・レビュー(ネタバレあり)

本作はテレビシリーズ「機動戦士ガンダム00」から直接つながるストーリーとなっているが、まず驚くのはその敵の正体である。従来のガンダムシリーズといえば、地球連邦とコロニーや特殊組織の対立、あるいは人類同士の争いが主軸になっていることが多かった。しかしながら、今回の劇場版はもはや“人類同士”の枠を超えている。敵が宇宙からやってきた謎の存在であり、その目的や正体を探るうちに「何じゃこりゃ」と驚愕すること必至なのだ。まさかガンダムの世界でここまで突き抜けたスケールになるとは、誰が予想していただろうか。

テレビシリーズ最終盤で登場した純粋種イノベイターの存在や、人類の可能性を示唆する革新のテーマがさらにエスカレートし、まるで「宇宙規模の哲学ショー」を見せつけられているようでもある。正直なところ、筆者自身は初見時に「これはガンダムというよりも別作品じゃないの?」と驚きつつも、同時に「いや、むしろ斜め上の展開こそガンダムっぽい」と妙な納得をしてしまった。ガンダムシリーズは各作品ごとにテーマや路線が異なるが、その都度“攻める姿勢”を見せてくれるのが最大の魅力である。本作もその伝統を大いに踏襲し、さらには「未来に挑むためには境界を超える勇気が必要」というメッセージをド直球で届けてくれる。

さて、気になるキャラクターの動向だが、主人公である刹那・F・セイエイはもちろん、ロックオンやアレルヤ、ティエリアといったお馴染みのメンバーが再集結している。彼らの関係性はテレビシリーズで語り尽くされた感もあるが、本作ではさらに一歩踏み込んだドラマが用意されている。その一方で、新キャラクターの登場や旧敵との共闘など、ファン心をくすぐるシーンが盛りだくさん。特にグラハム・エーカーに関しては、前作までのあの熱烈な“ガンダム愛”がどのように昇華されるのかが大注目ポイントだ。彼の生き様に共感できるかどうかは人それぞれだが、少なくとも「グラハム、あんたはやっぱり熱い男だ!」と叫びたくなることは確実である。

戦闘シーンに関してはもう文句なしにカッコいい。テレビシリーズでもハイスピードかつスタイリッシュなバトルが魅力だったが、劇場版という大画面の迫力と作画のクオリティアップが相まって、モビルスーツ同士の戦いがさらに映える。動きのスピード感に目が追いつかないほどで、「こんなに動いて大丈夫か?」と心配になるレベルだ。それでいて各機体の特徴やパイロットのクセがしっかりと表現されており、一瞬たりとも画面から目が離せない。とくに刹那が操るダブルオークアンタの新たな武装やフォームチェンジ的アクションは必見で、初めて見たときは「これはもはや光の戦士か?」と思うほどに神々しいシーンが炸裂している。まさしく“光と宇宙”を体現した機体という感じである。

物語の中盤から終盤にかけては、謎の宇宙生命体との意思疎通や衝突が加速し、人類が“対話”によって次の段階へ進むことの難しさをビシバシと感じさせられる。いわゆる「分かり合うためには殴り合う」系のガンダムらしさを踏襲しつつも、今回はそれを超越した“未知との遭遇”というテーマに挑んでいるのがユニークだ。正直なところ、「これは賛否真っ二つだろうな」と思われる設定や展開も多く、なかには「こんなのガンダムじゃない!」と投げ出す人がいてもおかしくはないだろう。だが、シリーズを追いかけてきたファンの中には、「イノベイターとか超人機能みたいなものはもう見慣れたから、いっそ宇宙生命体出してもいいんじゃない?」と妙に納得してしまう人もいるはずである。

ここで大事なのは、本作が“人類の可能性”を真正面から描いているという点だ。刹那をはじめとするソレスタルビーイングの面々が、どうやって未知の存在とわかり合おうとするのか。その過程で見せる苦悩や迷いこそがガンダムの魅力であり、やはり「平和への道は簡単ではない」というメッセージを繰り返し訴えてくる。もっとも、あまりに超常現象に振り切れているので、「あれ、これってファンタジーなのでは?」と思う瞬間も多い。だが、ガンダムシリーズを追っていると、宇宙世紀におけるニュータイプや他作品での特殊能力など、すでに“SF的ファンタジー要素”は定番化している部分もある。だからこそ、本作の超展開も「ガンダムらしさの延長線」という見方が成り立つのではないか。

また、本作ならではのユーモアといえば、やはりグラハムの“愛の叫び”に代表されるような熱血キャラたちの突き抜けっぷりだ。テレビシリーズの時点でも「これはもうギャグでしかないレベルにアツいな」と思わされる言動が多々あったのに、劇場版ではさらにギアを上げて爆走している。もはやギャグだか真剣だか分からないほどのテンションだが、そこにガンダム独特の熱さがある。シリーズを愛する人からすれば「こういうぶっとびキャラがいないとガンダムじゃない!」と膝を打ちたくなるし、逆に初めて見る人からすれば「え、なんかすごくテンション高い人がいるんだけど?」とぽかーんとするかもしれない。だが、その温度差を含めて楽しめるのがガンダムの醍醐味である。

もっと言えば、本作の終盤はかなり壮絶な展開でありながら、どこかスピリチュアルな空気すら漂わせている。「人は分かり合えるのか」「分かり合うために何が必要なのか」という問いに対し、最終的に本作が示す答えが「いや、それはもう奇跡レベルじゃん!」と感じる人も多いだろう。だが、そのぶっ飛び方こそが本作のアイデンティティであり、何とも言えない爽快感をもたらしてくれるのだ。もちろん、SF考証的に「どうしてそうなるんだ?」と首をひねる点がいくつもあるのは否めない。だが、ガンダムシリーズは常に「ロボットものの皮をかぶった人間ドラマ」であり、「設定に矛盾があろうが熱いものは熱いんだから仕方ない!」という強引さで見せ切ってきた歴史がある。本作もその系譜にしっかり組み込まれているわけである。

本作はガンダム00の総決算でありながら、「思い切り新境地に踏み込んでしまった挑戦作」としてのインパクトが大きい。キャラたちの成長や人類の革新の果てに何があるのかを描く一方で、「そこまでいっちゃったらガンダムの枠超えてない?」とツッコミたくなるような要素もてんこ盛り。好き嫌いがハッキリ分かれそうだが、それこそが本作を語る上で欠かせないポイントだと思う。テレビシリーズからずっと追ってきたファンにとっては、一度は通らなければならない道というか、「こんな奇想天外な展開もありなんだな」という新たな視野を開いてくれる作品でもある。

個人的には、やや駆け足に感じる展開や、“宇宙生命体”というやや唐突感のある設定が引っかかる部分ではあった。しかし、一方で「こんなぶっ飛んだガンダムを見られるのは今作だけかも?」という希少価値も感じていて、何度か視聴しているうちにだんだんとクセになってきた。結局のところ、本作は「好きな人はとことん好き、ダメな人はとことんダメ」という極端な評価に落ち着きやすいタイプの映画だと思われる。ハマる人にはバチッとハマるし、合わない人には「この宇宙スピリチュアルな方向性が無理」と感じられるかもしれない。しかし、それを含めてガンダムというコンテンツが持つ懐の深さを証明しているのではないだろうか。

以上、やたらと熱く語ってきたが、本作を通して一番感じたのは「人類の可能性というテーマを突き詰めるなら、これくらいぶっ飛んだ展開もアリなのかもしれない」ということだ。もう少し穏当な形で対話を描くこともできただろうに、あえて壮大かつ荒唐無稽な設定をぶち込んでくる姿勢は、「さすがガンダム」というほかない。意外かもしれないが、この突拍子もなさが逆にクセになる。それこそグラハムよろしく「俺がガンダムだ!」と全力で叫んでみたくなる、そんな奇妙な魅力が詰まった作品である。

 

映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」はこんな人にオススメ!

本作をオススメしたいのは、まずもちろん「機動戦士ガンダム00」のテレビシリーズを視聴済みの人である。これはもう言わずもがなだが、本作は完全にテレビシリーズの後日譚として展開するため、キャラクターや世界観、さらには人類革新というガンダム00独自のテーマを把握していないと置いてけぼり感が否めない。ただ、ガンダム自体にそこまで詳しくない人でも、「SF映画としてぶっ飛んだ世界観を楽しみたい」「ロボットバトルが好き」というタイプなら思わずハマる可能性がある。人類同士の争いにとどまらず、未知との遭遇や精神的な次元にまで踏み込むストーリーを「おいおい、そこまでやっちゃうの?」と笑いつつ楽しめる“懐の広い人”であれば、むしろ最高にエキサイティングな体験になるだろう。

さらに、ガンダムシリーズは好きだが「ニュータイプだの超能力だのはちょっと飽きた」という人にもある意味オススメだ。本作は“宇宙生命体”という方向に思い切りベクトルを振り切っているため、逆に新鮮な感覚で鑑賞できる。人類の可能性を問うガンダム伝統の要素を継承しつつも、設定や敵のスケールが大幅に広がっているので、「またコロニーや地球連邦の内輪もめかよ…」という飽きからは解放されるはずだ。もちろん「ガンダムは人間同士がガチでぶつかり合うからこそ味があるんだ!」と考えている人には受け入れがたいかもしれないが、それでも一度はこのトンデモ展開を体験してほしい。意外と「ありかも」と思える瞬間があるかもしれない。

最後に、熱血キャラや過剰なまでのドラマ展開を大らかな気持ちで受け止められる人にはピッタリである。本作にはシリアスな戦いと哲学的テーマがある一方で、一部キャラクターの暑苦しさや突き抜けた行動はほとんどギャグのような楽しさを醸し出している。「真面目一本槍でガチガチの戦争もの」というよりも、「ぶっ飛んだアイデアや超展開を笑って受け入れられる」感性がある人ほど、この作品の魅力を最大限に堪能できるだろう。

 

まとめ

本作「劇場版 機動戦士ガンダム00 Awakening of the Trailblazer」は、テレビシリーズの集大成でありながら新たな挑戦に踏み込んだ問題作とも言える。未知との遭遇や人類の可能性を大真面目に描きながら、熱血かつファンタジー風味の要素がてんこ盛りなので、「賛否両論? それがガンダム!」と思わせるのに十分なインパクトを持っている。

正直、もっと一般受けしやすい形にまとめてもよかったのではと思うが、あえてガンダムらしい“とんでもSF”の方向に突き抜けているからこそ、いまだに語り継がれているのだろう。

モビルスーツのハイスピードバトルは文句なくカッコいいし、各キャラクターの人間ドラマも熱量は十分。もしあなたがこの世界観にハマれば、ちょっと宗教めいたレベルで愛せる作品になること間違いなしだ。逆にまったく受け付けない人も当然いるだろうが、それだけ強烈な個性を放つ作品というわけである。

SF好きからガンダムファン、そして何でも面白がれる好奇心旺盛な人まで、とりあえず一度見てみる価値はある。最後まで見終わったあとに、あなたはきっと「この一歩先にある未来って、もしかしたら悪くないのかも?」と思えるかもしれない。