映画「ウィッシュ」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!
ディズニーの最新作とあって公開前からやたらと話題になっていたが、実際に観てみると期待を上回る部分と「え、そこなの?」と首をかしげる部分が交互に押し寄せてくる作品であった。
タイトルからして「願い」や「希望」をテーマにした物語であることは明白だが、蓋を開けてみると思った以上にファンタジー全開で、やたらカラフルな世界観に圧倒される。もっと言えば、アニメーション表現もこれまでのディズニー作品とは一味違う要素が盛り込まれ、ちょっとした実験的姿勢が垣間見えるのが興味深い。
とはいえ、ストーリー展開は「ザ・王道ディズニー」感が強く、「お約束」ともいえるシーンを次々に盛り込んできたのは安心感半分、既視感半分といったところ。そんな本作を観ながら笑い、そしてツッコミを入れたくなる人も多いのではないだろうか。
この記事では、「ウィッシュ 感想」と「ウィッシュ レビュー」をキーワードに、筆者の個人的な意見を思いっきりぶちまけてみようと思う。ネタバレ全開なので、観賞前の方は覚悟して読んでほしい。
映画「ウィッシュ」の個人的評価
評価: ★★★☆☆
映画「ウィッシュ」の感想・レビュー(ネタバレあり)
本作はディズニーの長編アニメーション映画の一作として、すでに高い注目を集めている。何しろ「ウィッシュ」というタイトルだけで、「星に願いを」という名曲を思い浮かべた方も多いだろう。実際に「願い」や「希望」が物語の核となっているのだが、そこはやっぱりディズニー、ただの夢物語ではなく、主人公の葛藤や成長、そして壮大な冒険を通じて、我々観客に色々と考えさせる作りになっているように思う。
物語の舞台は美しい王国ローサス。色彩豊かな街並みや自然描写が印象的で、さすがディズニーの技術力…と思わせる冒頭のシーンから始まる。主人公の名はアーシャ。17歳の少女で、正義感が強く、周囲にも優しい気配りができるキャラクターだ。ただ、その「正義感の強さ」が裏目に出ることもしばしばあり、物語序盤では彼女がちょっとした波乱を巻き起こす。ここがまた、ディズニー的王道ヒロインなのに、妙に人間くさく描かれているところが面白い。「そりゃあ君、それはやりすぎじゃない?」とツッコミを入れたくなるような行動もときどき挟まれ、親しみを感じるキャラになっている。
アーシャが住む王国には、王様がいて、国民たちが抱く「願い」をコントロールしている設定だ。これはなかなかユニークな世界観で、国民の願いが叶えられるかどうか、あるいはどう扱われるかを王様が決定するという仕組みになっている。ディズニーらしく、一見すると優しくて寛大な王様に見えるが、だんだんとその本性があらわになってくる展開だ。こういう二面性を持ったキャラクター像も、近年のディズニー作品ならではの要素といえるだろう。
ストーリーが進むにつれ、アーシャは国民たちの本当の「願い」と王様の抱える秘密との矛盾に気づき始める。彼女は正義感に駆られつつ、自分の信じる道を貫こうとするが、それが思わぬ形で彼女を危険にさらす事態へと発展していく。ディズニー映画といえば、序盤~中盤にかけて「なんだかんだでうまくいかない」パートがあり、それを乗り越えてハッピーエンドに到達するのが基本だ。本作「ウィッシュ」も例外ではなく、序盤~中盤でアーシャが抱える苦悩や挫折はお約束感がある。とはいえ、その途中で出会う奇妙なキャラクターや、アーシャを助けるサイドキック(動物や魔法的存在など)がしっかりと物語を盛り上げてくれるので、王道パターンとはいえ飽きさせない。
注目すべきは、ディズニー作品ながらも、手描きアニメ的な味わいを活かした新しい映像表現を取り入れている点だ。最近は3DCGが主流だが、本作では昔ながらの2D風アニメーションの質感をあえてミックスさせているらしく、キャラクターの動きや背景のタッチに独特のテクスチャが感じられる。これが妙にノスタルジックでありつつも、最先端の技術を駆使しているというギャップが面白い。ディズニーは常に映像技術で先導しているイメージがあるが、本作での表現は「新しいけど懐かしい」という不思議な感覚を味わわせてくれるのだ。
物語のテーマが「願い」だけに、キャラクターたちが自分の夢や希望を語るシーンが多い。観ていると「自分の願いは何だろう?」と考えさせられる瞬間が何度もある。と同時に、「いや、その願いの叶え方、ちょっと強引じゃない?」というツッコミを入れたくなる場面もチラホラある。王様が一部の願いを封印していたり、逆に別の願いを叶えるためにあれこれ画策していたりと、ディズニー作品にしてはややダークな雰囲気が漂うので、そこが物語を引き締めるスパイスになっている。子どもにはちょっと難しい部分もあるかもしれないが、大人ならではの視点で「社会風刺っぽさ」を感じ取ることもできるだろう。
音楽面もディズニー映画の大きな魅力だが、「ウィッシュ」でも数々のミュージカルナンバーが登場する。正直なところ、筆者としては「ちょっと曲数が多すぎやしないか?」と思う部分もあった。ディズニーにおけるミュージカル要素は定番の盛り上げポイントである一方で、人によっては「もう少しストーリーを進めてくれ!」と感じるかもしれない。幸い、曲自体は耳に残るメロディが多く、シーンとのシンクロも悪くない。主人公アーシャが自分の想いを歌い上げるソロパートは感情移入しやすく、彼女の内面を効果的に表現していると思う。
ストーリー終盤になると、王様の本当の目的や、星にまつわる謎が徐々に明かされていく。このクライマックスは、想像していた以上にファンタジックかつド派手な演出が炸裂する。星に願う行為が、単なるおとぎ話のようでいて、実は壮大な力を持つ存在として描かれるのだ。この展開は「おいおい、いきなり宇宙規模になっちゃうのか?」と驚かされるが、ディズニーらしい開き直りの良さを感じるシーンでもある。最終的にはアーシャの勇気と仲間たちの協力が勝利の鍵となり、国に平和と希望が戻ってくる…という大団円。いやもう、「そうだよね、ディズニーだもの!」と納得しつつも、ちょっと拍子抜けするほどベタな結末ではある。でもそこがディズニーの良さなのかもしれない。
さて、ここまで絶賛とツッコミを入り混ぜて書いてきたが、「ウィッシュ」は良い意味でも悪い意味でも「ザ・ディズニー」だと思う。ビジュアルは文句なしに素晴らしいし、楽曲も魅力的。キャラクターの動きや仕草の表現力もさすがで、コメディ要素もしっかり挟まれ、子どもから大人まで楽しめる作りになっている。一方で、ストーリー展開はかなりベタで、「新しいものを求めていたのに、結局はお決まりの展開か…」と感じる向きもあるだろう。特に近年のディズニー映画は「シュガー・ラッシュ」や「ズートピア」「アナと雪の女王」など、テーマ性が斬新な作品が多かっただけに、本作はやや安全運転に戻った感がある。
また、舞台となる王国の設定や歴史的背景などが、割とざっくり説明されるだけで深掘りされない点も気になった。王様がなぜそんな「願いコントロールシステム」を作ったのか、そのモチベーションの裏側にもう少し説得力があれば、物語にもっと深みが増したのではないかと思う。しかし、ディズニー映画としては「主人公の冒険」と「仲間の絆」、「夢を信じる心」を描くことが最優先なのだろう。ある意味では迷いのないストーリーテリングで、誰にでも分かりやすく感動を与える作りに徹している。そこを「浅い」と見るか、「エンタメに徹している」と好意的に受け取るかは観る人次第だ。
個人的には、「ウィッシュ」は「ディズニーファンならとりあえず観ておくべき作品」くらいの位置づけである。革命的に新しい発見があるわけではないが、ディズニーが培ってきたクオリティの高さと、安心して観られる王道展開が詰まっているので、ファミリーやライト層にはドンピシャに刺さるはずだ。逆に、「もうディズニーの王道展開には飽きたよ…」という人にとっては物足りない可能性がある。ただ、それを補うだけの視覚的な美しさやミュージカルの楽しさが用意されているので、少なくとも映像や音楽を堪能するだけでも価値はあるのではないかと思う。
それにしても、毎回のことながらディズニー映画にはほぼ必ずアニマルサイドキックが登場する。本作でもマスコット的な動物キャラ(ヤギのヴァレンティノ)などが出張ってくるのだが、その可愛さとコミカルさで物語を和ませる役割が大きい。思わずグッズが欲しくなってしまうような愛嬌があり、マーケティングも怠りない感じがする。ある意味、こうした仕掛けが「ディズニーらしさ」であり、「ああ、このキャラ絶対に人気出るやつだ」と先読みしてしまうのも一興である。
「ウィッシュ」はリスクを取らず王道を突き進んだディズニー映画という印象だ。テーマ自体は非常に普遍的で、子どもにも大人にも響くメッセージ性を持っている一方で、物語の意外性やキャラクターの掘り下げという点ではやや抑えめ。ビジュアル面の挑戦は興味深く、懐かしさと新しさを上手く融合させたアニメーション技術は素晴らしい出来映えだと感じる。王道だからこその安心感、そして細部に宿るディズニーのこだわりが、本作をエンタメ作品として成立させている要因だろう。筆者としては、「もう少し踏み込んだ社会風刺や驚きの展開があってもよかったのでは…」と思うところもあるが、これはもはや好みの問題かもしれない。何よりも、タイトルどおりの「願い」を信じる心を再確認させてくれる作品であることは間違いない。
笑ってツッコミを入れつつも、最後には心がほんわか温まる。そんなディズニー的世界観に浸りたい人や、家族や友人と一緒に映画館で楽しいひとときを過ごしたい人には、十分おすすめできる一本だ。もしあなたが「ウィッシュ レビュー」や「ウィッシュ 感想」を探しているのならば、このレビューを参考に、映画館で実際の映像を体感してみてほしい。きっと、自分なりの“願い”や“夢”に思いを馳せる素敵な時間が得られるはずだ。
映画「ウィッシュ」はこんな人にオススメ!
まず、ディズニー作品が好きな人には鉄板でオススメだ。何を隠そう、映像美やキャラクター造形、ミュージカルナンバーがふんだんに盛り込まれているので、「ああ、これぞディズニーだ!」と安心して浸れる世界観が待っている。また、「最近ちょっと疲れてて、気軽に心が温まる映画が観たい…」という人にもピッタリだ。子ども向けと思いきや、大人でもホッとできる要素が多く、王道ストーリーながら随所に笑いどころがちりばめられている。
次に、「2Dアニメの懐かしい雰囲気と3DCGの迫力が融合した映像表現が好き!」という人にも見逃せない作品である。長年ディズニーを見てきたファンなら、どこか昔の名作を思い出すようなタッチに心をくすぐられるかもしれない。さらに、主人公のアーシャが自分の信念を貫きながらも、周囲との衝突を経て学んでいく成長物語には、夢や目標に向かう現実的な苦労や勇気の大切さが重ねられている。だからこそ、「自分も何かを成し遂げたいけど、一歩踏み出せない…」と感じている人にとっては、背中を押してくれるメッセージが詰まっているといえる。
また、ファミリー層にももちろん推したい。可愛い動物キャラがしっかり愛らしさを振りまいてくれるし、コメディリリーフとしての役割も抜群なので、子どもたちも大笑いしながら楽しめるはずだ。一方で、悪役の王様にはしっかりとした理由づけがあるので、大人も「なるほど、そういう深みがあるのか」と感じられる場面がある。全体的にストレスなく観られる一本なので、週末に家族で映画館へ行き、ポップコーンを片手にワイワイと観賞するにはうってつけだと思う。
まとめ
「ウィッシュ」は、ディズニーが得意とするファンタジーとミュージカルを王道スタイルでまとめあげた作品である。目新しさよりも安心感を重視している印象で、正直「こういう展開、ディズニーで何度か観たな…」と感じる部分もある。しかし、それを「わかりやすくて感情移入しやすい!」と評価するか、「もう少し捻りがほしかった…」と見るかは人によって異なるだろう。
一方で、アニメーション技術の新たな試みや色彩の美しさ、そして主人公のアーシャをはじめとした魅力的なキャラクターは十分に見応えがある。とりわけ、ミュージカル要素に乗せて描かれる“願い”への想いは、映画を観終わった後もふと頭に残るはずだ。家族や友人、恋人と一緒に観て、それぞれの「ウィッシュ(願い)」について語り合う時間を楽しむのも悪くないだろう。そんな温かい気持ちを思い出させてくれる、本作はやはりディズニーらしさ全開のエンタメ映画だと感じた。