映画「変な家」公式サイト

映画「変な家」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!

映画「変な家」は、間宮祥太朗が主演を務める怪しさ全開のサスペンスホラーである。本記事では、その魅力や突っ込みどころをざっくりさらけ出していく。なにしろ“変”な間取りが登場するだけあって、一筋縄ではいかない展開が盛り込まれているのが特徴だ。おどろおどろしい家族の因縁や、背筋がゾクッとする秘密が次々と明らかになり、どこか常識を逸脱した雰囲気が漂う。とはいえ登場人物のやりとりは軽妙で、恐ろしさの中にも思わず吹き出しそうになる要素もある。ただし本作の真髄は、その不可解な間取りに集約されているといっても過言ではないだろう。中盤からはテンポも加速し、観る者を容赦なく巻き込んでいく。最後まで気が抜けないストーリーの数々を、激辛目線であれこれ語るので、ぜひお付き合いいただきたい。

ちなみに、原作者の雨穴氏による原作小説を下敷きにしているだけあって、独自の怪奇要素がうまく映像化されている点も見逃せない。家に潜む禍々しい気配と、人間ドラマとの組み合わせが妙にクセになる仕上がりだ。これから先は遠慮なくネタバレを含むので、本編を未見の方は要注意。というわけで、ここから先は心して読んでほしい。

映画「変な家」の個人的評価

評価:★★☆☆☆

映画「変な家」の感想・レビュー(ネタバレあり)

本作は、始まりからして妙な雰囲気を醸し出している。YouTuber役の主人公がオカルト要素満載のネタを探しに首を突っ込む場面で、一見ごく普通に見える家の間取りがとんでもなく不可解だと気づくところからストーリーが動き始めるのだ。「いやいや、これ絶対おかしいでしょ」とツッコミを入れたくなるほど、壁や階段、部屋の配置が常識を大きく飛び越えている。この突飛な設計にどんな裏があるのか、それを追及していく過程が、本作の最大の見どころといえる。

まず目を惹くのは、間宮祥太朗演じる主人公の姿である。彼は売れないオカルト系配信者という設定で、そのちょっと怪しげなキャラクターが物語を面白く牽引する。ついでに登場する佐藤二朗演じる設計士もなかなかの個性派で、理詰めとも思いつきとも取れない解析を繰り返しながら、次々と仰天の推論を展開してくれる。両者の掛け合いには独特のテンポがあり、見ていて「また変な方向に話が転がっていくのでは」とドキドキさせられる。

続いて注目したいのは、ホラー要素とミステリー要素の融合だ。普通ならワンシチュエーション・ホラーとしてまとめてもよさそうだが、本作はなぜか家族の因縁や村の伝承めいた背景まで盛り込んでくる。途中からは「おい、これはホラーなのか、それとも古き因習をめぐるドロドロの一族物語なのか」と混乱しそうになるほど、物語のスケールが膨らむのだ。ひょんなことから主人公たちが片淵家の恐るべき秘密に突き当たり、そこから先は予想外の展開が連打されるので、ついていくのに必死である。

本作の設定として面白いのは、左手首をめぐる供養の儀式である。聞いた瞬間「その発想はどこから来たんだ」と言いたくなるが、どうやら明治時代の騒動や霊媒師の助言など、いかにも怪談めいたエピソードが下敷きになっているらしい。そして村人たちはその風習を盲信しており、無関係な者まで巻き込んで血なまぐさい行為に手を染めていく。いかにも昭和の因習ホラーを思わせる筋立てだが、そこに現代のネット配信という要素がミスマッチしながらも妙に融合しているのが妙味だ。

一方、登場人物同士の会話や行動には軽快なやりとりが目立ち、緊迫感の中にもくすっとさせられる場面が多い。恐怖シーンとのギャップが凄まじいため、観客としては笑っていいのか背筋を凍らせればいいのか、やや混乱しがちではある。だが、この落差こそが本作の妙な吸引力に繋がっているように思える。特に佐藤二朗が真面目な顔で想定外の妄想プランを披露する場面などは、恐ろしい局面のはずなのに変に笑いがこみ上げてきてしまうから不思議だ。

物語後半は、いよいよ“変な家”の背景にある忌まわしい真相が明かされ、謎が次々と氷解していく。とはいえ、すべてがスッキリ解消するわけではなく、むしろ観終わった後に「本家や村人たちは何を信じていたのか」「そもそも呪いとは何だったのか」と疑問が湧いてくる仕組みだ。そこに付随するのは、救いがあるのかないのか判別しづらい余韻と、どこかブラックな後味である。「なんだか後からじわじわ怖くなる」といった感想を漏らす観客も多いのではないかと推測する。

演出面では、古い家や薄暗い部屋の雰囲気をうまく活かしている点が高評価である。床を引っかく音や、どこからともなく吹き抜ける冷たい風といった些細な音響効果が、じわじわと不安を煽ってくる。また、カメラワークも一部手持ち映像を取り入れており、ドキュメンタリー的な臨場感を巧みに演出している。主人公が配信者という設定を活かし、視聴者視点に近いアングルで“怖いもの見たさ”を刺激してくるので、より深く物語に引き込まれやすいと感じた。

しかしながら、強引な展開やツッコミどころも正直少なくない。例えば「そんな都合よく証拠が見つかる?」とか、「急に村ぐるみの因習が爆発するのはちょっと無理があるのでは?」といった疑問が浮かぶ場面が散見される。ミステリーとしてのロジックより、勢いと雰囲気で押し切るパワーが際立っているため、人によっては「ちょっと雑じゃないか」と感じるかもしれない。ただ、そこを突っ込むのも野暮というもので、怪奇とサスペンスが渦巻く空気感を楽しむ姿勢こそが、この作品に合った見方だろう。

キャストに目を向けると、間宮祥太朗は物好きなユーチューバーを自然体で演じ、さらに要所で見せる熱血ぶりが印象的だった。川栄李奈のミステリアスな雰囲気も本作の怪しさを際立たせており、表情一つで状況をガラリと変える力があると感じた。さらにベテラン陣の石坂浩二や斉藤由貴、そして高嶋政伸らは、まるで古典的な因縁話から飛び出してきたかのように不気味な存在感を放つ。一見するとやりすぎ感もあるが、あの空恐ろしい世界観に溶け込むのだから大したものだ。

監督・石川淳一の手腕も見どころだ。以前はコメディ色の強い作品を手掛けていたこともあり、ホラー演出に加えてキャラクター同士の掛け合いをテンポ良く魅せるバランス感覚が光る。背筋が寒くなる瞬間と、ちょっと脱力する瞬間が混在するため、一度ハマると止まらない妙なリズムを味わうことになる。この振り幅が広い演出は人を選ぶが、個人的には大いにアリだと思う。

物語のテーマに関しては、「家」という身近な空間が歪む恐ろしさが際立っていると言えよう。自分の住む場所がもしこんな風に謎めいた構造になっていたら…と想像するだけでゾワッとするし、その家の歴史を知れば知るほど引き返せなくなる感覚はリアルな恐怖につながる。また、当たり前の日常が崩れる瞬間を描きつつ、最終的には人間の信じる力が思わぬ狂気を生むという危うさを提示しているようにも見える。そこが本作の醍醐味でもあり、視聴後にいろいろ考えさせられる要素だ。

ストーリーとしてはひとまず完結するものの、未回収の伏線や曖昧な描写があえて残されている印象がある。そのため、「もう一度観て怪しいポイントを洗い出したい」と思わせるリプレイ欲求が生まれやすい。もし観終わった後に友人同士で感想を語り合うなら、「あのシーンの真意は何だったのか」「あの人物はどこまで知っていたのか」などの話題で盛り上がること請け合いだ。

本作は、ホラー要素とサスペンス、さらには家族ドラマや謎解き要素を欲張りに詰め込んだエンタメ作品だと感じる。確かに破天荒で詰め込みすぎなところもあるが、そのいびつさ自体が「変な家」の名にふさわしいとも言える。鑑賞後はモヤモヤするかもしれないが、そこを含めて独特の後味が魅力になっている。終盤に至っては「こんなのアリかよ」と言いたくなるような展開が待っているが、それでも最後まで走り切るパワーには敬意を表したい。

以上が激辛視点でのあれこれだが、どこか憎めないのが本作の面白さでもある。好き嫌いは分かれそうだが、仮に自分が友人に薦めるなら「その変テコな間取りや因習に突っ込みを入れながら観ると案外ハマるよ」と言うだろう。特に間宮祥太朗と佐藤二朗の凸凹コンビぶりは見どころだし、本家サイドの怪しい風習との対比も盛り上がる。もし奇妙な家に足を踏み入れる勇気があるなら、本作はなかなか刺激的な体験を与えてくれる一作だと思われる。

なお、原作となった雨穴氏の小説版や、実際に公開されたネット動画との相違点を探すのも一興だ。映画では人物関係が大胆に再構成されている部分があり、よりドラマ性を強めるための脚色が施されているように見受けられる。そのおかげで登場人物たちの動機や背景が濃密になり、特に家系に絡む恨みや負の感情が際立っている印象だ。もっとも原作ファンの中には「もう少しあっさりしていた方が好き」という声もあるかもしれないが、それは好み次第といったところか。

最終的には、タイトル通り“変な家”が中核を成す物語でありながら、その家に囚われた人々の執着や狂気こそが本当の恐怖だと感じる作品である。もし観る人が「こんな家には絶対住みたくない」と思うなら、それはある意味、映画の狙い通りと言えるだろう。日常の裏側に隠れた不穏な空気や、先祖代々引きずる呪いの恐ろしさを容赦なく叩きつけるあたりが、本作の最大の魅力だ。最後まで観終えたとき、あなたもきっと『これは確かに“変”な映画だ』と苦笑しつつ、なぜか忘れられない感覚に包まれるに違いない。

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映画「変な家」はこんな人にオススメ!

本作は、一風変わったホラーやサスペンスが好きな人にこそ勧めたい。シンプルにお化けだけが出てくる怖い映画とは違い、家という密室に潜むおぞましい風習や、狂気的な家系の謎が主軸になるため、ジワジワと迫り来る恐ろしさを味わいたい方にはぴったりだ。さらに、リアルな人間ドラマが織り交ざっているので、ただの怪談では物足りないという層にも向いている。

また、笑いどころが全くないわけではなく、佐藤二朗の飄々とした演技や、間宮祥太朗のちょっと空回り気味な行動にクスッとさせられる場面もある。だからこそ、ホラーが苦手な人でも、まったく手が出ないというタイプでなければ案外楽しめるのではないかと思う。血みどろの描写が延々と続くわけではなく、むしろ独特の雰囲気とテンポ感を重要視した作風なので、奇妙な世界観を好む観客ならハマりやすいはずだ。

加えて、オカルトや因習のような“古来の謎”が出てくる物語に興味がある人にも向いている。昔から語り継がれてきた呪いが現代社会でどう扱われるのか、そしてそれを巡って人々がどういう行動に出るのかといった人間模様は、思いがけないドラマを生むからだ。最終的にすべてをスッキリ理解したい人にはやや混乱する要素もあるが、むしろそこを含めて面白がれるなら、本作はうってつけといえるだろう。

まとめると、ちょっと変わった間取り図に興味がある人、村の怪しげな風習が絡むホラーに興味をそそられる人、そしてダークな笑いも多少は受け入れられる人には大いにオススメである。鑑賞後には家や家族の在り方について、普段考えないような角度から思いを巡らせる機会になるかもしれない。そういう意味でも、ただの“こわい映画”にとどまらない幅広さを持った作品だと感じる。

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まとめ

以上、映画「変な家」は、不気味な間取りを切り口に家族の闇と因習の恐ろしさを描き出す独特の一作だといえる。前半のミステリー調な流れから、後半は予想外の風習ホラーへと一気に舵を切る展開は強烈で、息つく暇を与えない。確かに荒削りな部分はあるが、その分インパクトが強く、一度見たらなかなか忘れられない後味を残す。

個性派俳優たちの熱演と、奇妙な空気感をめいっぱい楽しみたい人には、ちょうどよい刺激になるだろう。最後まで観終えたときに何とも言えない気分にさせられるのは、本作ならではの魅力だ。ちょっとでも興味を持ったなら、ぜひ挑戦してみてほしい。