映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」公式サイト
映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」の感想・レビューをネタバレ込みで紹介!
あの大人気シリーズがついに劇場で堂々のフィナーレを迎えたわけだが、原作を知っていてもやはりスクリーンで体感する衝撃は桁違いだった。壮大な戦闘シーン、濃厚すぎる人間ドラマ、そして最後に訪れる結末を見届けたとき、自分の心に刻まれた衝撃度合いは相当なものだったと思う。長年追いかけてきた人にとっては感涙必至だし、アニメで見ていなかった細かい描写も映画ならではの迫力で再確認できる。音響が増幅する絶望感、キャラクターたちの切実な思い、さらに一筋縄ではいかない展開が連続するため、まばたきするタイミングさえ忘れてしまいそうだった。
全編通して胸が熱くなりつつ、時に思わず吹き出しそうなやりとりもあり、物語としての幅広さをしみじみ感じた。自分にとって一生忘れられない作品になったと断言できる。
映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」の個人的評価
評価:★★★★☆
映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」の感想・レビュー(ネタバレあり)
本映画は、長きにわたり多くのファンを引き込んできたシリーズの集大成である。舞台となる世界が残酷すぎるほどの現実をつきつける一方、キャラクターたちの信念や葛藤がこれでもかというくらい詰め込まれているところが見どころだ。アニメの最終パートを劇場用に再構築したものではあるが、映像と音響のパワーアップぶりは目を見張るものがあった。
物語は「地鳴らし」という破滅的な状況から始まる。そこからすでに絶望的な空気が漂っているが、スクリーン越しだと容赦ない地響きや踏み潰される凄惨な光景がより鮮明に伝わってくる。その圧倒的な規模感に、ただただ息を呑むしかなかった。漫画やテレビシリーズで分かっている展開だとしても、実際に劇場サイズの画面と音量で突きつけられると、悲壮感と恐怖が体ごと包み込んでくる。観客としては、どこか遠い世界の惨事ではなく、自分もその場にいるような錯覚さえ覚えるほどだ。
それでもキャラクターたちは前へ進む。あきらめずに巨人に立ち向かう兵士たちの執念がとにかくすごい。特にリヴァイの動きはやはりいつ見ても格別で、鋭い眼差しと華麗すぎる立体機動のアクションは本映画の最大の見せ場のひとつだと思う。彼が持つ冷酷さと優しさのギャップが物語の要所要所で表現されるたびに、胸が締めつけられた。それに加え、ハンジの飄々とした振る舞いが繰り返し描かれることで、重苦しいストーリーの中にかすかな救いの瞬間が生まれているのも印象的である。
そして中心人物エレンの内面を丁寧に映しているところも見逃せない。彼が地鳴らしを発動するまでの迷いや怒り、そして最終的に選び取った行動は、本映画でさらに濃密に描かれている。なぜここまで極端な手段を選んだのか、世界を滅ぼすほどの力を使う意義は何だったのか――その答えがスクリーンいっぱいにぶちまけられた感がある。少年だった頃のエレンは「自由」を求めて壁の外を目指していたが、この結末に至るまでに抱えた苦しみの巨大さを思うと、もはや善悪だけでは割り切れない悲痛な運命を感じずにはいられない。
さらに重要なのは、ミカサやアルミンといった幼馴染たちの揺れ動く感情だ。エレンを止めたいが、彼が抱え込んでいる痛みを知っているからこそ、どこまで踏み込んでいいのか分からない。そのもどかしさと切なさがスクリーンからひしひしと伝わってきた。彼らは時に味方にも牙をむき、それでも一緒に歩いてきた絆を手放さない。その姿が何とも言えない複雑な余韻を生み出している。
加えて、マーレ側のライナーやアニなど、多くのキャラクターが再登場し、それぞれが背負う罪悪感や目的を抱えて行動していく展開は壮絶である。過去に敵対していた者同士が共闘を余儀なくされる場面もあれば、今さら自分たちの行為を悔いても何も変わらない、と開き直るしかない場面もある。長らく続いた「人対人」の構図が極点まで到達するのがこの映画であり、終幕に向けてのドラマが詰めに詰め込まれている。その一挙手一投足が、もはや見逃せないくらい緊張感に満ちているのだ。
だが、本映画が真に注目すべきは、ただの戦闘スペクタクルでは終わらない点だと思う。巨人の力や人類同士の争いを描きつつも、根本には「生きること」「愛すること」「許し合えない現実」への強烈な問いかけがある。これだけ圧倒的な規模の破壊を見せつけながら、最後には人間という存在そのものの闇が残される。エレンが人類を滅ぼしかけたとしても、完全なる平和がすぐに訪れるわけではない。その事実があまりにも辛辣で、見終わった後に「何だったのか、この壮大な戦いは?」と考え込まずにはいられなかった。
とはいえ、この重苦しさだけで終わるかといえば、そうでもない。終盤にはリヴァイやミカサがそれぞれの立場で大きな決断を下していく場面がある。もう死にそうなほどの限界状態でも、仲間の思いを背負って立ち上がる姿は、このシリーズの真骨頂だ。かつて大量の死を見てきた兵士たちが、最後の最後まで「心臓を捧げよ」と進み続ける。そこには単純な自己犠牲だけではない、意地と意志がある。実のところ、この意地と意志のぶつかり合いこそが本映画を観る最大の醍醐味だと思う。
映像表現としても、立体機動装置を使った空中戦が多数登場するので、画面に食い入るように見てしまった。大きなスクリーンならではの迫力があり、特に人類最強ともいえるリヴァイ兵長の動きは、まさに「人間離れ」した凄まじさが際立つ。戦闘中のBGMも硬派な雰囲気を高めてくれたし、無数の超大型巨人が一直線に行進する姿は、劇場ならではの恐ろしさが倍増していた。
また、作品世界の根幹を支える「始祖ユミル」の存在も忘れてはならない。実質的にすべての巨人の起点となった彼女の物語が深く掘り下げられ、エレンとの交わり方が最後のキーとなる。ユミルの願いとエレンの願いがどこで一致し、どこでずれたのか。その答えが明らかになるにつれ、これほどまでに悲哀を帯びた決着があるのかと思った。
結末においても、まったく安易に「はい大団円、おめでとう」などという流れにはならない。このシリーズらしく、人が背負う業や争いの宿命がなお続いていく様子を描ききっている。作品世界の闇が壮絶ならば、それを受け止める人々の心もまた、生半可ではない。観終わってしばらくは強烈な虚脱感に襲われるかもしれないが、それこそが本映画の醍醐味だろう。何より、人間の尊厳や命の重さを重苦しくも真正面から問う姿勢に、改めて圧倒された。
ただし、重々しい展開ばかりかといえば、さりげない会話シーンに軽やかなやりとりが差し込まれる点も個人的には好きだ。破滅的な状況下でも仲間同士のやりとりに笑いが込み上げそうになる場面が用意されている。そういう一瞬の息抜きがあるからこそ、観る側としても張り詰めすぎずに最後まで見届けられるのだと思う。表現のメリハリが実に巧みで、長時間の上映でもダレることなく集中できた。
見終わった後、スクリーンに流れるスタッフロールの一字一句を噛みしめながら「ああ、本当に終わってしまったんだな」としみじみ思った。ずっと追いかけてきた物語の結末を、こんなにも目と耳と心に刻みつけられる形で迎えられたのは幸福な体験である。劇場で観る価値は十分すぎるほどあったし、このシリーズを愛してきたならば、大画面でのラストアタックを見逃す手はない。何度でも言いたいが、ここまでの締めくくりを用意してくれたスタッフには拍手を送りたい。
もちろん好みが分かれる部分はあるだろう。地鳴らしや激しいバトル、血生臭い描写は容赦がなく、スクリーンで直視するのがきつい人もいるかもしれない。それでも、このシリーズが放つ一貫したテーマやドラマ性が心に刺さるなら、ぜひ劇場に足を運ぶべきだと感じた。自分はこれまでの流れを知っているからこそ、その作り込まれた世界観が一気に爆発する様子を全身で味わえたと思っている。
最後に、何と言ってもキャラクターへの愛着が試される作品である。リヴァイ、ミカサ、アルミン、そしてエレン――それぞれに紡がれてきた物語が壮絶な着地点を迎えるのだが、好きなキャラクターがいる人ほど涙なしには見られないかもしれない。それは悲しみだけではなく、彼らが最後の一秒まで輝いたという感動でもある。そんな思いを抱かせてくれるのは、この映画がやはり真摯に原作をリスペクトしているからだろう。
シリーズを支えてきた全要素を全力で詰め込んだような凄みがある。息苦しいほどの絶望と、それでも諦めない意志、壮大な戦闘、そして切なくも苦い結末。それらが渾然一体となって心を揺さぶってくる。本映画は単なる締めの一本ではなく、まさに「最終到達点」としての見応えを存分に発揮していた。自分としては「ようやく最期まで見届けた」と達成感を得たし、同時に長い付き合いだったキャラたちに別れを告げるような寂しさも感じる。そうした複雑な感情すら、この映画ならではの味わいなのだと思う。
映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」はこんな人にオススメ!
まずは原作やアニメシリーズをしっかり追いかけてきた人なら、かなり楽しめるはずだ。戦闘の派手さだけでなく、キャラクターの内面を掘り下げる描写が膨大に盛り込まれており、人間ドラマを愛するタイプには手応えがある。また、少々血生臭くても迫力のある映像を堪能したい人、絶望の淵から立ち上がる意志の強さを感じたい人にも適しているだろう。原作未読でも全容をある程度知っているなら問題ないが、詳細をまったく知らないと飲み込みにくい部分が多いかもしれないので、予習しておくと理解が深まると思う。
さらに、ダークな世界観の中にも、仲間同士の軽妙な掛け合いを見て楽しみたい人には良い選択になる。何しろ大舞台での最終局面だから、キャラクターたちが培ってきた絆や恨みが一気に噴出する。シリアスな攻防戦が続く一方で、時にクスッと笑えるやりとりがスパイスのように利いているのが本映画の魅力だと感じる。何度も衝撃的なシーンが襲ってきても、その合間合間でキャラ同士のやり取りが見られるのがたまらないという人には、まさにうってつけではないだろうか。
つまり、ストーリーの結末を見届けたい方、アクション満載の迫力を体験したい方、そしてキャラの活躍を大スクリーンで焼きつけたい方にとっては必見である。
まとめ
以上が、映画「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」の全体的な印象だ。長期にわたって描かれてきた物語が、大画面によってさらにパワーアップした形で閉じるというのは、シリーズファンにはたまらない体験だと感じた。過酷な世界観の中で必死にもがくキャラクターたちの姿は何度見ても胸に迫るし、最終的に待ち受ける結末の重さは一言では表せない。
とはいえ、その重さに見合うだけの見応えがしっかりあったし、長い時間をかけて培われたドラマが凝縮されている点に感謝しかない。観終わった後は言葉にし難い思いがこみ上げるが、そこにこそ本シリーズが放つ力強さが詰まっているのだろう。本映画を機に改めて原作やアニメを振り返ってみるのも良いだろう。大きな余韻を残しつつ、確かな満足感を得られる一本だと思う。